2026年3月13日、第3回「小規模離島における持続可能な社会の実現に関する万国津梁会議」が沖縄県庁で開かれ、当法人代表理事の上妻毅も委員として参加しました。
◆八重山毎日新聞(2026.3.15)
県万国津梁会議 離島支援、施策提言へ 12項目、中間報告案まとめ
◆琉球新報(2026.3.14)
離島の住宅整備 コスト最大2倍 万国津梁会議で中間報告
https://ryukyushimpo.jp/politics/entry-5117414.html
以下、上妻発言要旨
中間報告(案) について
「小規模離島における現状と課題」の12項目は、これまでの議論を踏まえた妥当な設定だと思う。
「担い手の確保」に関して
今後の重要事項として、改めて 「外国人労働者」について触れておきたい。
インドネシアからの特定技能労働者が製糖工場を支えている北大東島の事例のほか、粟国島でも製糖工場の季節労働者向け宿舎を整備し、38人のインドネシア労働者が利用する旨の報道があった。「彼らの力なしには製糖作業が成り立たない」とのコメントにもあるとおり、外国人労働者が島の産業を支えている現実がある。また、宮里委員(座間味村長)からは、船員に関しても外国人労働者の受け入れを検討する必要性が指摘されている。
離島と外国人労働者に関わる視点として、以下の二点を申し上げたい。
①島の文化やコミュニティとの共生が不可欠の要件 ~「多文化共生」以前に~
②外国人の労働研修と生活順応の拠点としての小規模離島の可能性
「住宅の確保」に関して
竹富町が黒島に職員住宅を整備する報道があった。
・1棟4戸の職員住宅を民間事業者が建設。
・町が年間704万円で12年間借り上げ、期間満了後は無償譲渡。
・BLT方式:Build(建設)‐Lease(借り上げ)‐Tlansfer(譲渡)
住宅の確保に関わる今後の検討課題を二つ挙げる。
①事業化手法(PFI/PPP、公共側の支援措置を含む)
②離島に適した建築工法
(例)プレハブ,コンテナ,プレキャスト,ユニットハウス,3Dプリンター,タイニーハウス等
「物流ネットワークの効率化」に関して
「物流ネットワークの効率化」と「持続可能な公共サービスを支える体制」の双方に共通する課題がある。具体例と合わせて提起したい。
本来、ネットワークやシステムあるいは広域で問題に向き合うべきところ、現場の離島町村だけに対処対応が委ねられている実例がある。
①放置パレット:離島が末端となっている物流に関わる問題
②漂着ゴミ:今後の広域行政に関わる問題
いずれも責任の所在が曖昧、もしくは処理責任が果たされないまま現場が負担を余儀なくされているのが実態。
〇竹富町の放置パレット問題
・島に配送される荷物の運搬に使われるパレットが回収されず、町内7つの港に山積み。
(例)黒島港の放置パレット:7000枚とも(2022年)
・令和4年度、「パレット使用に関する条例」施行。町がパレットを赤と緑に塗装・色分けして船会社に貸与。町指定以外のパレット持ち込みを禁止。1000万円を超える費用をかけ、町内の放置パレットを一掃。しかし、条例施行から1年も経たないうちに指定外のパレットが放置され、再び山積みになるおそれ。
物流の末端ゆえの特殊な問題だが、物流/流通のネットワークにおける離島の位置づけが不十分ないし欠落している実態を示唆しているのではないか。現場の一自治体だけが問題の解決にあたっている。物流ネットワーク全体でシステマティックな解決を図るべき。
本項は 「物流ネットワークの効率化」となっているが、効率化だけで十分か。小規模離島を包含するシステムやネットワークの再構築が求められているのではないか。
「持続可能な公共サービスを支える体制(沖縄モデル)の構築」に関して
持続可能な公共サービスを支える体制に関して、漂着ゴミの問題も引き合いに、離島町村と今後の広域行政の課題に触れたい。
まず、廃棄物に関する離島町村の現実(①処理能力の限界、②高コスト構造、③環境負荷への脆弱性)を前提に、小規模離島における廃棄物の最適処理を考える必要がある。
外海に面した多くの小規模離島は、繰り返し漂着する海洋ゴミの回収・処理の問題にも直面している。つまり、「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に「漂着ゴミ」を加えた三つの廃棄物処理。漂着ゴミの中には、危険・有害な漂着ゴミ(電球、ランプ、蛍光灯、医薬品等々)もある。素足で歩けないビーチになってしまう等の安全の問題や生態系への悪影響など深刻な事態も生じている。
新・沖縄21世紀ビジョン基本計画には、‘継続的に適正処理できる環境づくり’、‘効果的な回収処理体制の構築’などと記されてはいるが、十分な対策が講じられないまま問題が放置されているのが現実。ちなみに、港を除く海岸の「海岸管理者」は、ほぼすべて都道府県知事である。
本項に書かれているのは、現状、課題とも行政職員の問題にとどまっている。「持続可能な公共サービスを支える体制」というのは職員確保だけにとどまらないのではないか。
現場の離島自治体だけに対処・対応が委ねられてきたのがこれまでの現状だとすると、沖縄県を含む広域連携/広域行政による対応が今後の課題。「沖縄モデル」を打ち出すのであればこの点は不可欠と考える。その意味でも、県が進めている「市町村広域連携支援事業」は重要。広域連携に向けた検討を含め、沖縄県がリーダーシップを発揮し、新しい事業や制度創設など積極的な取り組みを進めてほしい。
「公共交通(航路)の維持」に関して
「公共交通(航路)の維持」に関しては、航路以外の公共交通も含めるべき。具体的には、沖縄本島や拠点離島との間を行き来する「航空路」と島内の「陸上交通」の二つ。
波照間島では定期航空便の運休が十数年続いた。とりわけ妊婦、高齢者、障害者などの移動に伴う負担は大きく、航空路の維持は切実な問題。
島内のスムーズな移動を支える陸上交通は、住民はもとより来訪者にとっても重要。航路・航空路との連続性を含むシームレスな交通利用環境が望まれる。
「島の活性化と産業振興」に関して
「島の活性化と産業振興」に関しては、島の資源や新しい可能性の発揮、潜在的資源を含む小規模離島の魅力や優位性の発掘と活用という視点が重要。島の活性化にも、産業振興にも不可欠と考える。
前回の会議では、琉球石灰岩で濾過される地下浸透海水を利用した陸上養殖の実例を紹介した。島の自然資源を活用した「ブルーエコノミー」と言える。
島の資源や新しい可能性を発揮する重要事項として加えたいのは、以下の三点。
・「観光」~島の資源と価値を共有する高品位の離島観光~
・「人材と雇用」~ICT活用/DX対応型の人材育成と新しい雇用の創出~
・「スマートアイランド」~社会実験・実証事業の先行モデル~
島の活性化と産業振興を実践する領域であり、具体策と考える。
観光について補足したい。林委員も指摘しておられる‘星空’、言い換えれば、光害のないダークスカイ。また、騒音のない‘静寂’。島の優れた観光資源で、心身を癒すリトリートにも、デジタルデトックスの空間としても、小規模離島は最適の環境を備えている。集客施設による観光ではなく、島に流れる「時間」や「環境」が来訪者を魅了するというところ。
さらに、来訪者と住民の双方が自然、景観、独自の文化などの島の財産を尊び、価値を共有する持続可能な観光「レスポンシブルツーリズム」は、島の資源と可能性を発揮する観光の基軸と考える。
「関係人口の創出」に関して
関係人口創出の基本形は「交流人口」から「関係人口」への進化である。
そのターゲットに、「レスポンシブルツーリズム」とともに「ユニバーサルツーリズム」の来訪者を位置づける。具体的には、障害者や高齢者などの‘観光困難者’に、安全安心で満足度の高い滞在型観光の機会を提供し、ご家族とともに新しい関係人口の創出を促進する。
「こどもたちが安心して進学できる環境の整備」に関して
教育面に関わる重要な問題として「情報格差の解消」を挙げたい。特にデジタルを通じて格差を解消する具体策として、電子図書館、電子書籍サービスがある。
・住民にIDを発行。専用サイトの電子書籍が無料で閲覧可能。
・沖縄県立図書館:図書館のない離島10町村向けにサービスを開始(2023年~)
「多様な主体との連携」に関して
小規模離島の支援や離島町村との連携を担う主体として、「地方公営企業」の可能性について触れておきたい。
・地方公営企業が主体となり、宅地造成など離島の重要事業等を担う可能性
・現在、県の企業局は水道事業が中心。枠を拡げ、離島支援のための新しい取り組みができないか。
万国津梁会議提言に関する私見
◆SWGs(Sustainable Well-being Goals)
・ポストSDGs:2030年以降
・Well-being:身体・精神・社会とも良好な状態
・SWGs:「幸福」という観点から社会・経済・環境の持続可能性を捉え直そうという考え方
・GDW(Gross
Domestic Well-being):GDP(国内総生産)に代わる指標も論議されている
◆小規模離島における持続可能な社会の実現の方向性 (案)
Ⅰ.不利性克服への連携
Ⅱ.SWGs 実現への共創



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