2019年9月21日土曜日

NPW広報/沖縄県振興審議会「離島過疎地域振興部会」開催

2019917日、沖縄県振興審議会のつの専門部会の一つ、「離島過疎地域振興部会」の第2回会合が開かれました。
委員は12名。部会長は国際的な島嶼学研究の第一人者でもある嘉数啓琉球大学名誉教授。NPW代表理事・上妻は副部会長として参画しています。


沖縄県振興審議会「離島過疎地域振興部会」委員
嘉数  啓 琉球大学名誉教授(部会長)
上妻  毅 一般社団法人ニュー・パブリック・ワークス代表理事(副部会長)
新垣 盛雄 一般社団法人沖縄旅客船協会 会長
鯨本あつこ 特定非営利活動法人離島経済新聞社 統括編集長
金城 清典 琉球エアーコミューター株式会社 代表取締役社長
古謝 安子 琉球大学医学部講師
崎原 永作 公益社団法人地域医療振興協会 理事
富永 千尋 琉球大学研究推進機構研究企画室 特命教授
外間 守吉 沖縄県離島振興協議会会長/与那国町長
諸見里安敏 沖縄県離島海運振興株式会社 代表取締役社長
山城 定雄 公益社団法人沖縄県地域振興協会プログラムオフィサー
龍  秀樹 株式会社NTTドコモ九州支社 沖縄支店長


8月の第1回会合に続く今回は、「離島の定住条件の整備」を主題に審議が行われました。
事務局(県企画部地域・離島課)より『沖縄21世紀ビジョン基本計画等総点検報告書(素案)』に則した報告・説明が行われた後、離島・過疎地域の現状や課題を中心に、各委員から様々なコメントや意見が述べられました。
その中には、沖縄県としての取組みは充分か、地域・住民の切実なニーズに対応しているのか、といった問いかけや問題提起もありました。

以下、上妻の発言要旨を記します。


ユニバーサルサービス=地域による分け隔てのない便益の提供
定住条件整備として十分だったこと・不十分だったことをクリアにする意味から、ユニバーサルサービスの提供に至っていないところは何か、状況を把握したい。


超高速ブロードバンド環境の構築
基盤整備率83.7%(平成29年度)
残り16.3%の未整備の離島を確認したい。
特に小中学校があって、なお未整備の地区は?


「沖縄離島住民等交通コスト負担軽減事業」など
将来にわたっての実施や安定運用を懸念する声あり。
‘実施効果があった’ことよりも‘継続できるか’が切実かつ重大な問題。
恒久制度化と安定的財源の確保が重要課題。


海岸漂着物の回収・処理
十分な取組みが行われてきたと言えるか?
長年にわたって大量の漂着が繰り返され、生態系等に多大な負の影響を与えている。
特に緊急性の高い「危険・有害な漂着物」について、早急に実態の把握を。
また、市町村とともに、対策に必要な措置を国に強く求めるべき。


離島患者の経済的負担軽減
交通費の補助だけでなく、がん・難病など島外で治療等が必要な離島在住の患者と家族のための宿泊施設(ファミリーハウス)等も重要。
支援継続、必要に応じて強化を。


宿泊税(法定外目的税)について
県が導入への準備等を進めている「宿泊税」は、離島住民も課税対象となるのか?
島では果たせない目的を充たすための宿泊にも課税するのか?
適切な措置が講じられないとすれば、当「宿泊税」は「離島の定住条件整備」に逆行する。


医療・福祉分野の専門人材の確保
‘質の高い福祉・介護人材を地域完結型で育成’とあるが、本当に地域完結型で人材を育成できるのか?
介護-医療の連携、地域社会での認知症対策強化等の状況下、看護師など医療系専門人材の確保は小中規模の離島にとって非常に切実な問題。


過疎・辺地地域の振興に関して
市町村別や島別に過疎の進捗状況等を把握することが先決ではないか。
過疎・辺地の振興に関する取組みは、道路整備、移住対策、その他(地域づくり人材等)に尽きるのか?


離島地域の「廃棄物処理」について、総点検における扱いを問う。
課題では言及しながら(広域的対応が困難、高コスト構造とならざるを得ない..etc.)、現状、取組み、成果ともに不明。
一般廃棄物処理が市区町村の事務であることは承知。他方、『21世紀ビジョン』では、離島の生活基盤の充実・強化について‘県民全体で支え合う新たな仕組みを構築’の旨を明記。
離島自治体の深刻な実状等をふまえ、取り組むべき課題や方策など、「廃棄物処理」について総点検としてしっかり扱うべき。


移住対策
専門的人材の確保に向けた移住対策の強化も重要。
例えば「保育士」の確保を目的とする事業等も実施されている。その実績は?


UJIターンの環境整備
具体的な取組み状況は?


持続可能な地域づくりの具体策
‘社会的サービスや集落機能を維持する持続可能な地域づくりに取り組む必要がある’との記載。
極めて重要と考えるが、その具体策は?



離島住民へ影響懸念 離島過疎振興部会開く 県が進める宿泊税
9/18八重山日報)
https://www.yaeyama-nippo.co.jp/archives/8923


本部会は、あと3回の会議開催(年内)を予定しています。
離島・過疎地域の実情と課題を見据えた論議を通して、審議会がより有意義なものとなるよう、微力を尽くしたいと思います。