2024年1月18日木曜日

報道記事/第3回「竹富町訪問税審議委員会」

 2024111日、竹富町訪問税審議委員会が開催されました。

最終の会合となる本会議では、基本事項となる課税対象、徴収方法、税率とともに、特別措置を講じるべき対象について活発な審議が行われました。

以下、メディアの報道を紹介します。

NHK2024.1.11

竹富町が検討の訪問税で報告書 “原則2000円徴収が妥当”

https://www3.nhk.or.jp/lnews/okinawa/20240111/5090026283.html

竹富町が導入を検討している「訪問税」をめぐり、町が設置した委員会で、島を訪れる際に原則2000円を徴収することが妥当だとする報告書がとりまとめられました。

9つの有人島に4000人余りが暮らす竹富町には、美しい島や海を求めて、コロナ禍前には年間およそ100万人が訪れていて、ゴミの処理やインフラ整備などの財源確保が課題となっています。

このため、町では新たな税の「訪問税」の導入に向けて、有識者などでつくる委員会で検討が進められていて、11日、税金を納める対象や金額などを盛り込んだ報告書がとりまとめられました。

それによりますと、観光客の増加で今後さらに7億円程度の財源が必要であるとして、町民や町内の会社に勤めている人など一部の例外を除き、島を訪れる際に原則、1回につき2000円を徴収するのが妥当だとしています。

また、11日の会合では、島を頻繁に訪れる人に対する特別措置について2つの案に絞り込み、最終的な判断を町に委ねることになりました。

これらの案では、島を訪れる石垣市と与那国町の住民は年間5000円以上の決められた額を納めた場合に、そして、伝統行事の参加者や医療や介護目的の医療関係者や親族などは年間3000円以上の額を納めた場合に、何度でも訪れることができるとされています。

委員会は12日に前泊町長に答申を行い、町は早ければ3月の町議会に条例案を提出することにしています。

会合のあと、委員長を務めた神奈川大学の青木宗明教授は「我々は理屈にのっとって根拠のある数字を出した。それを今度は町の方でどうすべきなのか最終的にご判断いただきたい。訪問税を作って、外から入ってきて行政の仕事を増やす人にその一部を負担いただくというのは当然のことなので、住んでいる人と来訪する人の数字がすごくアンバランスな自治体は是非導入を検討すべきだと思う」と述べました。

八重山毎日新聞(2024.1.12

「訪問税」原則2000円 竹富町審議委 前泊町長へ答申

https://www.y-mainichi.co.jp/news/40174

竹富町が有人島への入域者を対象に導入を計画する法定外普通税「訪問税(仮称)」について、審議委員会(委員長・青木宗明神奈川大学教授・6人)は11日午後、町役場で最終となる第3回審議会を開き、税率は1人「2000円が適当」などとする報告書をまとめた。八重山圏域(竹富町除く)の住民も課税対象で、往来頻度の高い郷友会員や町内に仕事で通う事業者、エッセンシャルワーカー等は税負担が軽減される「年払い対象者」に位置付けた。同会は12日午前、前泊正人町長へ答申する。

訪問税は観光客等の来訪で発生・増幅する行政需要に対し、「原因者負担」の観点から膨張する経費の一部を来訪者に負担してもらう仕組み。同町によると、2021年度予算のうち、来訪者に対応するための行政需要は約10億円と算出しており、町の年間入域観光客数(約100万人)で割ると1人当たり約1000円程度となる。

一方で需要は年々増加しており、観光防災関連など実施されていない施策も含めると年間約20億円を試算。審議委員会では前回までに「持続可能な観光地として存続するための税率水準として2000円が適当」とする意見をまとめている。

今回はこれまでの協議内容を基に作成した報告書案について事務局から説明があり、委員らは非課税設定の可否と特別措置「年払い」対象者、小人価格の3点について意見を交わした。

八重山圏域の住民を一律非課税とするかの議論で青木委員長は「町民と同等に扱うという点でかなり現実的ではない。不可能」と指摘。小学生を無料とする小人価格は公平性の観点から「不均一課税とする明確な理由が見いだせない」とした。

年払いについては対象者の範囲と税率で意見が分かれたため、二つの案を用意し、町に判断を委ねることに決めた。「八重山圏域(石垣市・与那国町)在住で5000円以上」または「祭祀行事等に参加する郷友会会員、介護で通う親族、ヘルパー、医療関係者、事業者作業員、季節労働者などで3000円以上」のどちらかとなる。

委員からは「特別措置の審査は行うべきだ。ふるさと住民票を発行した人も対象にしてみてはどうか」(上妻毅氏)、「年払い対象者を公民館長に審査させるのは負担が大きく難しい」(大久研一氏)などの意見があった。

町は15日からの住民説明会、条例案に対するパブリックコメントで意見等を収集。早くて3月の町議会定例会に条例案を上程する。可決後は総務省同意を得て、施行・運用開始に向けた準備に入る。今後は特別徴収義務者の地元船会社、航空会社に概要を説明し、理解と協力を求めていく考え。

八重山日報(2024.1.12

訪問税、石垣市民にも課税 年払い制、2案を提示


会議翌日の112日には、審議委員長の青木宗明神奈川大学教授から前泊正人竹富町長に対して答申が行われました。

離島自治体の新しい自主財源確立に関わる具体的なプロセスに関わることができたことは光栄で、大変有意義な経験でした。

全国的にも先駆的な取り組みである竹富町「訪問税」の今後の進展を見守っていきたいと思います。 

NHK2024.1.13

竹富町検討「訪問税」“2000円適当” 委員会が町長に答申

https://www3.nhk.or.jp/lnews/okinawa/20240112/5090026293.html

竹富町が導入を検討している「訪問税」をめぐり、町が設置した委員会は、2000円の徴収が適当だとする報告書をまとめて町長に答申しました。町は、早ければ3月の町議会に条例案を提出することにしています。

9つの有人島に4000人余りが暮らす竹富町には、美しい島や海を求めて、コロナ禍前には年間およそ100万人が訪れていて、ゴミの処理やインフラ整備などの財源確保が課題となっています。

こうした中、新たな税の「訪問税」の導入に向けて町が設置した有識者などでつくる審議委員会は、島を訪れる人から原則2000円を徴収することが適当だとすることなどを盛り込んだ報告書をまとめ、12日、前泊正人町長に手渡しました。

報告書では、特別措置として、島を頻繁に訪れる石垣市と与那国町の住民、それに伝統行事の参加者や医療関係者、介護目的の親族などは、年間に一定額以上を納めると何度でも訪れることができるようにすることも提案されています。

町は、住民説明会を開いたうえで最終的に判断することにしていて、早ければ3月の町議会に条例案を提出することにしています。

前泊町長は「訪問税はこれからの町の発展に必ず必要なものだと強く思っています。責任ある観光と島々の住民が住み続けられる選ばれる島になるためにしっかり判断していきたい」と話しています。

沖縄タイムス(2024.1.13

竹富訪問税 2000円答申 審議委 3月議会にも条例案

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1290080

竹富町が導入を検討する訪問税を巡り、有識者でつくる審議委員会(委員長・青木宗明神奈川大学教授)は12日、来訪者から徴収する金額を「2千円が適当」とする報告書を前泊正人町長へ答申した。

島外からの伝統行事参加や訪問介護など住民生活に欠かせない目的の際には割り引く措置などを盛り込んだ。前泊町長は「竹富町には必要。しっかり判断したい」と述べた。15~26日、町内6カ所で住民説明会を開き、早ければ3月の町議会に条例案を提出する。

九つの有人島がある町内には人口の250倍超に当たる年間約100万人が訪れ、ごみ処理などの費用が増加。防災を含め、持続可能な観光地づくりのため、訪問税の導入を目指す。使途の自由度が高い「法定外普通税」を想定している。青木委員長は「万が一災害が起きても安心して滞在できるよう2千円が適当」と述べた。

沖縄テレビ(2024.1.14

竹富町の訪問税は原則2000円 審議委員会が答申

https://www.fnn.jp/articles/-/642466

竹富町が導入を検討している「訪問税」について審議する委員会は、一人あたりの徴収を原則2000円とする案を町に答申しました。

9つの有人離島を有する竹富町は、コロナ禍前の入域観光客が年間100万人を超えていて、ゴミの処理や公衆トイレなどのインフラ整備の財源確保が課題となっています。このため町は、島を訪れる人から徴収するいわゆる「訪問税」の導入を検討していて、審議委員会は一人当たり原則2000円とする答申を前泊町長に提出しました。

前泊正人町長:

「何のために必要なのかしっかりご理解頂いて制度としてしっかりと走らせる」

また、医療関係者など特定の目的で島を訪れる人は年間3000円、八重山圏域の住民については年間5000円とする事も盛り込まれています。

竹富町は住民説明会を開催し、3月の町議会に条例案を提出する方針です。

2024年1月9日火曜日

報道記事/沖縄タイムス掲載 上妻毅コメント

202415()、沖縄タイムスの特集記事にNPW代表理事・上妻毅のコメントが掲載されました。

軍民共用へ「呼び水」  真の離島振興と言えず

特集「インフラ整備 潜む防衛の影」㊦

ニュー・パブリック・ワークス上妻毅代表理事

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1285617

防衛体制の強化に向け、自衛隊や海上保安庁の利用を前提に、政府が民間の空港と港湾の拡張などを進める公共インフラ整備。県内の離島振興などに携わってきたニュー・パブリック・ワークス代表理事の上妻毅氏は「円滑な軍民共用の道を開くための“呼び水”となるのは間違いない」と警鐘を鳴らす。

公共インフラ整備について政府は、自衛隊による年数回の訓練利用が前提で「米軍の使用は念頭に置いていない」と繰り返してきた。

だが、これまで米軍は、屋良覚書に基づき民間以外の目的で使わないとされる下地島空港に飛来するなど「想定外の運用」を繰り返してきた。上妻氏は、既に各地で日米共同訓練が実施されているとし、今回も「当然、米軍が使う前提だろう」と推測。県や県民が求めてきた基地負担軽減と逆行するとみている。

2007年には与那国町の祖納港への米海軍掃海艇の寄港を巡り、事前に通知を受けた当時の外間守吉町長は外務省を通じて反対の意思を通達し、県は自粛を要請したにもかかわらず、米軍は「友好親善」の名目で寄港した。

与那国町への自衛隊配備の動きが表面化したのもその頃からだ。「掃海艇が入港する以前から島の軍事拠点化への準備は着々と進められてきた」と振り返り、県に対し、「寄港を強行された当時を思い出すべきだ」と訴える。

一方、人口減少などを背景に、経済振興につなげようと、かねて求めてきたインフラ整備の好機と捉え、政府方針に賛同する自治体もある。自治体の足元を見た計画の悪質さを上妻氏は指摘する。自衛隊配備や防衛予算に頼っても与那国町のように元々住んでいた人の流出には歯止めがかかっていない現状があることから「防衛に求めるのは筋違い。真の離島振興とは言えない」と批判した。

政府が挙げる施設候補の中でも特に、下地島空港の軍事利用や与那国町比川地区への港湾新設は、地元や県民からの反対の声も大きい。上妻氏は、地元の懸念や反対を払拭できない疑念があるとし、こう問いかけた。

「地元が置き去りのまま、誰がための整備か」

(政経部・東江郁香)