2020年6月25日木曜日

NPW広報/寄稿「沖縄の離島と持続可能な観光・ツーリズム」(月刊自治研6月号)

65日発行の「月刊自治研」6月号にNPW代表理事・上妻毅の寄稿が掲載されました。




月刊自治研 20206月号
【特集】沖縄から見るインバウンドと持続可能な観光

「沖縄の離島と持続可能な観光・ツーリズム」

-観光客数拡大主義との訣別-

というタイトルでまとめています。

全世界が例外なく直面し、観光・ツーリズムにも計り知れない衝撃と影響を与えているコロナ危機は、地域がそれぞれの持続可能な観光戦略を考える好機ではないでしょうか。
ご関心のある方はご笑読ください。



2019年12月28日土曜日

報告/イタリア・オランダ出張記者会見(新沖縄発展戦略検討会議)


20191115日~22日、富川盛武沖縄県副知事ら12名による以下の海外出張調査が行われました。


【概要】

新たな沖縄振興計画に関わる重要事項を検討する見地から、オーバーツーリズム対策の先進地であるイタリアのサルディーニャ、欧州の最先端物流拠点であるオランダのロッテルダム等を対象とする現地調査を実施。


【主な日程】

111719日:サルディーニャ州(イタリア)
・訪問先:カリアリ市、サルディーニャ州政府、カリアリ大学、ヴィッラシミウス市
111920日:アムステルダム市、ロッテルダム市(オランダ)
・訪問先:JETROアムステルダム事務所、アールスメール花市場、VRR社(物流関連企業)、ロッテルダム港湾公社、日本通運(ロッテルダム事務所)等


上妻は「新沖縄発展戦略検討会議」の委員として本調査に参加しました。
また、帰国後の1220日には、沖縄県庁にて記者会見が行われ、副知事ら調査チームによる出張報告が行われました。

以下、同記者会見での上妻コメント(メモ)を記します。


イタリアはサルディーニャ州政府と2つの自治体(カリアリ市、ヴィッラシミウス市)について、オランダはロッテルダム港湾公社について、それぞれ興味深かったこと、印象に残ったことを報告申し上げたい。 

サルディーニャ州政府

サルディーニャの特徴:
‘期間限定のオーバーツーリズム’
・サルディーニャ州全体の観光客:年間1500万人
・但し、5月~8月の四ヶ月に集中。観光客の8割の目的は海(特にビーチ)。
サルディーニャ島の規模
・面積:四国より大きく九州より小さい(約24,090㎢)
・人口は約160万人。島をめぐる海岸線全土に200近くのビーチ。
沖縄が今後直面する(あるいはすでに直面している)オーバーツーリズムと共通する面、様相を異にする面がある。

州政府ではオフシーズン対策の話が先行。
‘ビーチオンリーの観光地からの脱却’という方向性。
・内陸部の観光資源、「食」や「ワイン」、「遺跡」「祭り」などの歴史・文化、自転車・その他スポーツの「体験型ツーリズム」を積極的にプロモート。
・内陸部へのアクセス、移動環境の充実も課題。
かつての主力産業は化学産業。しかし、ルーマニア等の安い労働力を求め製造業が空洞化。
現在のサルディーニャを支える主力産業は観光。
それでも年間3000人の若者が流出(大学卒業後、島外へ)
州地域担当相(大臣)コメント
「雇用、ビジネスなど‘チャンスのある島への脱皮’が不可欠」


カリアリ市

明快な観光ポリシー
・観光客を増やしたい
・収益を向上させる
・通年観光をめざす
・人の移動を調節するプログラムを築く
オーバーツーリズムに伴う問題(渋滞、混雑、ゴミ、騒音など)と対策
・短期滞在(2~3泊)のつまみ食い的観光を改善
・人数制限を含むビーチの保全と持続的利用を検討

ヴィッラシミウス市

町村規模の小さな自治体(コミューネ)だが、学ぶべき点は大きかった。
基本ポリシー:
‘海を守る’+‘持続可能な観光’
・海洋保護区域の指定:ゾーンを定め、禁止する活動(水泳、スキューバ、素潜り漁等)も規定
・水不足への対応、ゴミ問題(分別・リサイクル、コンポスト)、照明(LED化)、ハイブリッド車 ..etc.
もっとも参考になったこと:ゾーニングによる建築規制
・海岸線から500m以内 ホテル等建設禁止
・海岸線から2km以内 住宅等建設禁止
・州法による保護指定地域の中、市がより具体的な規制を実施。

ひるがえって、「沖縄の海岸線」は大丈夫か?
県内の海岸と周辺は相当規模の土地の所有権が県外にわたっている状況も。今後、開発圧力はさらに増大する。
乱開発の規制、自然環境、景観、住民の生活環境を守るための手立て、条例を含む制度面の保全措置は不十分。
サルディーニャ州とヴィッラシミウス市の事例に学ぶべきことは大きい。


ロッテルダム港湾公社

主な質問:①港湾の経営主体について、②CO2削減の取組み
港湾経営の転換
・2004年、ロッテルダム市から港湾公社(ポートオーソリティ)に移行(株式会社化)
・現在もロッテルダム市は、オーナー(土地所有者)かつ株主
民間の人材とノウハウが導入される中、間違いなく「機動力」は向上した印象。
・ロッテルダム港の成長・発展と雇用を念頭に「ビジョン」「目標」「マスタープラン」「シナリオ」を構築
・新事業への投資、新たな企業立地の促進、新規分野への進出等を推進
CO2削減の背景
・工業港湾地域としての責任(過去:大気汚染・水質汚染の発生源としての実態)
・オランダの地理的特性(国土の4分の1が海抜ゼロメートル以下)
・EUの枠組みと気候変動への取組み(特にCO2削減)
CO2削減への取組みは港湾経営の効率化や高度化につながったか?
・詳細不明。しかし、廃棄物を化学原料に転換する新事業には市も民間も投資..etc.
最新の取組み:「港湾経営最適化ソフト」によるデジタルソリューション
・港湾活動・コミュニティ(待ち時間を20%減)
・物流チェーン(ピザでもできるトレースを大型貨物で)

ひるがえって沖縄の状況は?
港湾経営もオペレーションも最適・最善には至っていない。
規模・条件は違えど学ぶべき点は大きい。

持続可能な観光 重要 副知事が欧州視察報告
12/22沖縄タイムス)

“持続可能な観光”欧州の事例を報告
12/24 RBCニュース)
https://www.rbc.co.jp/news_rbc/%e6%8c%81%e7%b6%9a%e5%8f%af%e8%83%bd%e3%81%aa%e8%a6%b3%e5%85%89%e6%ac%a7%e5%b7%9e%e3%81%ae%e4%ba%8b%e4%be%8b%e3%82%92%e5%a0%b1%e5%91%8a/

報告/「沖縄県振興審議会」開催

20191226日、第69回「沖縄県振興審議会」(会長:西田睦琉球大学学長)が開催されました。
審議会委員、専門委員、沖縄県部局長ら60数名同席の中、「沖縄21世紀ビジョン基本計画等総点検報告書」に対する答申案などについて公開審議が行われました。


会議では、まず7月以降半年にわたる審議を重ねてきた9つの部会長から報告と意見陳述が行われました。
NPW代表理事・上妻は、海外出張中の嘉数啓離島過疎地域振興部会長(琉球大学名誉教授)に代わり、当部会の審議に関わる重要事項を中心に意見を述べました。
以下、上妻の発言(全文)を記します。


はじめに

副部会長の上妻でございます。よろしくお願いいたします。
当部会は、「ほぼすべての意見・論議が他の部会のテーマに関わる」というところ、例えば「医療・福祉」「観光」「人材育成」など、分野を横断した審議の特徴がございます。
お伝えしたいことはたくさんございますが、幾つかの重要事項についてお話しさせていただきます。

人材の確保

一点目は、多くの島々と過疎地域が直面している‘人口減少の中の人材の確保’という問題です。
特に、医師・保健師など医療に関わる人材の確保は、常に切実な問題です。
一方、航路を支える船員、空港職員の確保なども問題となりつつあります。
「離島住民の命と暮らしを支える担い手の確保」-今後、より切迫した問題になると思います。

在宅介護・医療

離島での「介護」「医療」の問題がございます。
例えば、竹富町のアンケートでは、お年寄りの約7割が、「生まれ育った島で最期を迎えたい」と答え、ほとんどの方が「在宅での介護・医療の充実」を求めています。
しかし、「島に常駐してくれる医師を一人確保するのも大変」という現実があります。
入院のために島を離れるとき、「ご近所や友人が次々にお別れの挨拶に来る」という切ない話を聞いたこともあります。
離島の「在宅介護」「在宅医療」、そして「終末医療」をどう充実できるか。
切実な問題です。

人口減少

次に、「人口」に関してです。
県内の有人離島は現在37島ですが、50年から60年の期間でみると、石垣島を除くすべての島で人口は減少しています。
住民が‘復帰前の3分の1以下’になった島もあります。
申し上げたいのは、多くの島々で、「自然増を上回る社会減が進行している」ということです。
多良間島のケースを申しますと、
・20年前、多良間島の出生率は「3.14」-全国で断トツの1位でした。
・その後も「平均を上回る出生率」を保っています。
・しかし、「3.14」の時期を含め、人口は減少しています。

「定住条件の整備」が向き合うべきこと

このような状況の中、申し上げた「人材確保」の問題があり、「小中学校存続」の問題があり、「地域社会そのものの維持・存続」という課題が浮かび上がっています。
県の施策である「定住条件の整備」は、
‘恒常的な人口減少’
‘自然増を上回る社会減’
‘地域社会の存続’
‘担い手の確保’
こうした現実と向き合うべきで、悠長な話ではありません。

‘持続可能な離島観光’に関して

「観光」についても若干触れたいと思います。
「オーバーツーリズム」が論点となりました。
総点検では、「入域客数」が観光振興の主たる指標です。
離島の観光も、「観光客数の増加」が評価の指標、目標となっています。
しかし、例えば竹富島の場合、住民 350人ほどの島に、年間50万人を超える観光客が訪れています。
観光客の増大によって‘島の自然・文化・生活環境が悪化すること’を島の皆さんは望んでいません。‘これ以上の観光客増’も望んでいないように感じます。
沖縄県として「質を重視した観光振興」を進めていく旨は伺っています。
しかし、それぞれの島について、
・どれだけの観光客が来て、
・滞在日数あるいは滞在時間はどれぐらいで、
・いくらぐらいお金を使っているか?
こうしたデータは未整備と聞きました。
異なる条件や事情に則した「島単位の観光戦略」が重要と考えます。
基礎的なデータは整える必要があると思います。
また、「オーバーツーリズム」については、<観光管理>という概念が重要と考えます。
部会では、
・<量の拡大>を基調とする従来の指標・目標を見直すこと
・<観光管理>という観点で、‘良質で、持続可能な観光’を推進すること
そうした必要性をお話しさせていただきました。

むすび

最後に申し上げます。
「離島・過疎地域」を特殊な地域として捉えず、沖縄の問題・課題の縮図、あるいは、沖縄全体の将来を占う地域として、実情を見つめていただきたいと存じます。
特に‘人口減が続く離島の現実’から考えるべきことは大きいと思います。
これまでの振興策の検証を含め、‘離島・過疎地への施策・事業の総動員’を願っております。
以上です。
振興計画点検を承認  審議会、県に来月答申
12/27沖縄タイムス)

「幅広い分野で議論を」 沖振計への提言を来月答申
12/26 RBCニュース)
https://www.rbc.co.jp/news_rbc/%e3%80%8c%e5%b9%85%e5%ba%83%e3%81%84%e5%88%86%e9%87%8e%e3%81%a7%e8%ad%b0%e8%ab%96%e3%82%92%e3%80%8d%e3%80%80%e6%b2%96%e6%8c%af%e8%a8%88%e3%81%b8%e3%81%ae%e6%8f%90%e8%a8%80%e3%82%92%e6%9d%a5%e6%9c%88/

3時間に及ぶ審議の中、「沖縄21世紀ビジョン基本計画(沖縄振興計画)等総点検報告書(素案)」に対する答申()」は全会一致で承認されました。
また、西田会長から提案された「首里城正殿等の再興に関する提言()」も全会一致で採択されました。

2019年12月17日火曜日

報道記事/沖縄県振興審議会 正副部会長合同会議


県振興審への答申案決定 観光公害対策盛る
12/17沖縄タイムス)


上妻発言要旨


‘新たに生じた課題’に対応する‘新しい概念’

新たに生じた課題に対応する‘新しい概念’が必要ではないか。
離島とオーバーツーリズムの話をさせていただいたが、これまで、観光客数の増加を基調とする観光振興が優先され、目標とされてきた感がある。
しかし、より重要になってきているのは、必要によっては量の拡大を制御する<観光管理>という概念ではないか。
<関係人口>という概念もある。
十年前の計画策定時にはおそらくなかった概念。
「定住」でも「移住」でも「交流」でもない、離島過疎地域の振興に関わる重要な概念。
具体例の一つとして「離島留学」を取り上げた。
新たな課題に対応する‘新しい概念’も取り入れ、作業等を進めていただきたい。

「指標」「目標」の見直し

「指標」と「目標」双方の見直しが必要と考える。
一例だが、部会での配付資料の中で、「漂着ごみ」の取組みについて、
ビーチクリーン活動の参加者が目標(12,000人)を上回った(12,548人)ので‘達成’
というものがあった。
有益な活動ではあるものの、‘参加者の数が目標に届いたか’が指標となるのはおかしい。取組みと指標が十分に適合していないケースである。
もっぱら「入域客数の増加」を指標とする観光振興についても、見直しが必要。
「指標」や「目標」を抜本的に見直せる機会は総点検の時期。
具体的な作業は次の計画策定時かもしれないが、「指標」「目標」の適切なあり方に関わる論議は、すでにこの段階から始まっていると考える。
新しい沖縄振興にふさわしい「指標」「目標」を検討願いたい。

重点政策対象としての離島過疎地域

ほぼすべての意見・論議が他部会のテーマに関わる分野横断的な審議が離島過疎地域振興部会の特徴。
一方、各部会の審議結果報告でも、離島過疎地域に関わる様々な論議、いくつもの重要な意見を伺い、有り難く感じている。
離島過疎地域を特殊な地域として捉えるのではなく、沖縄の問題・課題の縮図、あるいは、沖縄全体の将来/近未来を占う地域として、その実状を見つめるべきと考える。
同時に、恒常的な人口減少が続く離島過疎地域の現実から考えるべきところは大きい。
これまでの沖縄振興の検証を含め、施策・事業の総動員を図るべき。

2019年12月13日金曜日

報道記事/西表島「利用者負担による保全の仕組み」関連


20191210日、環境省主催の公開会議に出席しました。



・西表石垣国立公園(西表地区)「利用者負担による保全の仕組み」勉強会
・会場:竹富町離島振興総合センター(西表島大原)
・主催:環境省西表自然保護官事務所