2020年11月23日月曜日

NPW広報/沖縄県「新たな離島振興計画策定に向けた有識者委員会」開催

 

20201118日、沖縄県「新たな離島振興計画策定に向けた有識者委員会」(第2回)が座間味村役場で開かれました。
委員は6名。NPW代表理事・上妻は委員長として参画しています。
また、4名の方々に専門委員としてご指導とご協力をいただいています。

沖縄県「新たな離島振興計画策定に向けた有識者委員会」

(委員)

上妻  毅 一般社団法人ニュー・パブリック・ワークス代表理事(委員長)

鯨本あつこ 特定非営利活動法人離島経済新聞社 統括編集長

小島愛之助 公益財団法人日本離島センター専務理事

三友 仁志 早稲田大学大学院アジア太平洋研究科長・教授

宮里  哲 座間味村長・県離島振興協議会 会長

森田  賢 沖縄県企画部地域・離島課 課長

(専門委員)

落合 陽一 筑波大学准教授・メディアアーティスト

崎原 栄作 公益社団法人地域医療振興協会 おきなわ医療センター長

濱中 香理 海士町役場 人づくり特命担当課長

山口 功作 合同会社側用人代表社員・元エストニア投資庁日本支局長



沖縄県の離島振興計画は、10年ごとに改訂され、現在は20122021年度を計画期間とする『住みよく魅力ある島づくり計画』(沖縄21世紀ビジョン離島振興計画)に基づく各種の取組みが進められています。
本委員会は、現在37の県内有人離島を対象に、2022年度以降の新しい離島振興の方向性や計画のあり方を検討することを主眼としています。
9月に続く今回の会合では、以下の議事に即して論議と意見交換を行いました。

議事:次期離島振興計画(骨子)の検討

◇計画の構成

◇施策展開のあり方

-持続可能な離島コミュニティの形成

-離島フロンティアの戦略的推進

◇離島グループ別振興方策

-各離島の現状と課題(離島カルテ)

-離島グルーピング

◇その他


委員会では、従来の離島振興施策の柱である、

1.離島における定住条件の整備

2.離島の特色を生かした産業振興と新たな展開

を以下に言い換え、様々な論議を積み重ねています。

1.持続可能な離島コミュニティの形成

2.離島フロンティアの戦略的推進

-島の資源・魅力と地域特性を生かした産業振興の推進-


以下、上妻の提言(骨子)を記します。

持続可能な離島コミュニティの形成


◇人口減少への対応
国立社会保障人口問題研究所:2030年には県内全ての離島市町村が2015 年の人口を下回ると推計
従来:‘自然増を上回る社会減’
今後:‘自然減の中の社会減’へ。「限界離島」の発生も。
◇関係人口増加への取組みの強化
地域の活力を維持しながら、緩やかな人口減少に対処。
「適疎」(適度に疎がある状態)の視点
◇人材確保
専門人材の確保は特に重要。(例:保健師)
UJIターンの移住策とリンクした取組みの強化
◇交通
都市部に立地する病院、商業施設、教育機関等を利用しやすい交通条件の整備
利便性と安定性を確保する交通ネットワークの構築と住民の負担軽減
海、空、陸の交通手段がシームレスに連結する交通システム(離島版MaaS)
◇廃棄物処理
離島地域:一般廃棄物、産業廃棄物、プラス 海岸漂着物
環境負荷に対するキャパシティ、処理能力の限界、高コスト構造
島嶼地域の諸条件に適合する新しい広域処理体系の構築

離島フロンティアの戦略的推進


◇離島観光
比較優位の資源(例:静寂、夜空)を活用した‘持続可能で高品位な離島観光’
地域・住民と観光客・旅行者が価値を共有する‘レスポンシブルツーリズム’
障害の有無や年齢に関わりなく、誰もが安心して楽しめる‘ユニバーサルツーリズム’
観光困難者と家族をターゲットとする‘新しい関係人口’の創出
旅行業、持続可能なツーリズム、観光地経営等のノウハウを備えた人材の確保・育成
島の魅力や資源を生かした地元主体の観光振興と収益の拡大
◇農業と食
離島農産物の高付加価値化、ブランド化
健康・長寿に関わるエビデンスの実証(例:島野菜、薬草)
◇離島経済
生産者と連携した離島経済の活性化
既存の流通システムに依存しない直売機能の拡充(オンライン市場等)
地産地消の促進、コミュニティ経済の構築(島内循環、相互扶助)
域内循環の拡大と脱‘ザル経済’(離島地域におけるモデル化)

ポストコロナの離島振興


離島にいながら高い生活水準を享受できる環境づくり
1)テレワーク
都市と同様に業務が実施できる環境の構築(通信基盤、スペース等)
テレワーク人材の育成(島外からの業務受託等)
2)遠隔教育
離島における教育機会の充実と高度化
3)遠隔医療
離島のニーズを踏まえた医療サービスの向上(在宅医療・介護を含む)
4)生活条件
移動コスト、物流コストの低減、その他生活に係る各種負担の軽減
デジタル化による行政サービスの向上
5)移住促進
移住先としての魅力の向上(新しい働き方・ライフスタイルへの対応等)
6)DX(デジタルトランスフォーメーション)
リモートトリップを通じたリアルトリップへの誘導、eコマースの高度化など
離島における5Gの地域実装、先端技術の利活用(スマートアイランド等)


次回の委員会は年明け1月の開催を予定しています。
離島地域の実状とニーズ、様々な課題を見据えて、より充実した論議と検討作業ができるよう微力を尽くしたいと思います。

2020年6月25日木曜日

NPW広報/寄稿「沖縄の離島と持続可能な観光・ツーリズム」(月刊自治研6月号)

65日発行の「月刊自治研」6月号にNPW代表理事・上妻毅の寄稿が掲載されました。




月刊自治研 20206月号
【特集】沖縄から見るインバウンドと持続可能な観光

「沖縄の離島と持続可能な観光・ツーリズム」

-観光客数拡大主義との訣別-

というタイトルでまとめています。

全世界が例外なく直面し、観光・ツーリズムにも計り知れない衝撃と影響を与えているコロナ危機は、地域がそれぞれの持続可能な観光戦略を考える好機ではないでしょうか。
ご関心のある方はご笑読ください。