2019年2月4日月曜日

鹿児島まちの駅連絡協議会にて講演


201922日、鹿児島県伊佐市で開催された「鹿児島まちの駅連絡協議会」の新春情報交換会にお招きいただき、講演をさせていただきました。
会合には、まちの駅と地域づくりに関わる会員の方々、行政、議会、商工会、観光・特産品協会を含む約40数名の関係者が集まりました。

「まちの駅」
住民や来訪者が自由に利用できる休憩場所や地域情報を提供する機能を備え、出会い・交流・連携を促進する場として整備。個人商店から公共施設まで、様々な形態がある。
全国まちの駅連絡協議会によると、全国で1,600を超えるまちの駅が認定されている。
鹿児島県内の伊佐・湧水地区(伊佐市および姶良郡湧水町)には、現在6ヶ所のまちの駅があり、まちづくりの新しい拠点としての役割が期待されている。


NPW代表理事・上妻は、『人口減少時代の地域存続とまちづくり』というテーマで講演をさせていただきました。

◇まちづくりの多義性

◇地域社会の維持・存続への切実な取組み
 鳩間島(沖縄県竹富町)における小中学校の存続
 川俣町(福島県)における震災復興(避難指示区域・山木屋地区の再生)
 離島・過疎地域における専門人材の確保(例:看護師、保育士)

◇人口減少と新しいまちづくり
 自然減・社会減、地域資源の再評価、適疎
 人口8000・北海道東川町のまちづくり

◇これからの伊佐市
 地域づくりの理念・ビジョン・政策
 多様な方法論(例:交流、観光、関係人口)

◇私見(新たな視点)
 幸福度を高める(Gross Isa Happiness
 地域の担い手を支え、育てる

今回の訪問では、曽木の滝や明治42年に建設された水力発電所の遺構など、伊佐独自の名所・旧跡もご案内いただきました。


また、伊佐市は「鹿児島の北海道」とも称されるほど冷え込みが激しく、過去に零下15℃を記録したこともあります。
そうした冬場の気候を利用した、年に一度のイベント「アイスワールド」にもご案内いただき、氷の彫刻(アイスカービング)等を見学しました。



お世話になりました関係者の皆様に感謝申し上げるとともに、地域おこし・まちづくりへの地道な取組みが実ることを祈念いたします。

2019年1月23日水曜日

竹富町海洋シンポジウム開催

2019120日、竹富町制70周年記念事業「竹富町海洋シンポジウム~隔ての海を結びの海に~ゆんたく島つなぎ」が開催されました。
(主催:竹富町、協力:NTT西日本沖縄支店、学校法人角川ドワンゴ学園)


竹富町役場を主会場に、インターネット回線を利用して7つの島(石垣島、竹富島、西表島、黒島、小浜島、鳩間島、波照間島)が同時中継で結ばれ、基調講演、小中学生クイズ選手権、パネルディスカッションなど多彩な企画が催されました。

西大舛高旬町長コメント:
「2017年度からの超高速ブロードバンド環境整備に伴い、観光、教育、医療、福祉、防災などあらゆる分野でICTの利便性を享受できる条件がようやく整った」
「このシンポジウムは、海を直接渡ることなく皆が参加し、島の未来を共に考える初めての試み。‘隔ての海’を‘結びの海’に、竹富町の島々の未来や可能性を、島を越えて語り合ってもらいたい」

各会場の島民が参加したパネルディスカッション(島の未来を考える討論会)では、それぞれの島の魅力や様々な課題などが示された上で、海と共に生きる「竹富町海洋行動宣言」、個々人の行動・活動の指針となる「My海洋行動宣言」が発表されました。
NPW上妻は、黒島担当のコーディネーターとして、会場の皆さんの「My海洋行動宣言」の発表など、7島8会場を結んだパネルディスカッションの進行役を務めました。

なお、本シンポジウムの模様はインターネット放送(ニコニコ動画)で公開・生中継され、計7時間半に及んだ全プログラムの累計視聴者数は19,000を超えました。

島々のより良い未来への扉を開く、竹富町の歴史的な事業に参加できたことを感謝しています。

関連報道

町のより良い未来へ 島々つなぎシンポジウム(八重山毎日新聞)
「隔ての海を結びの海に」 海洋シンポ初開催(八重山日報)
六つの島 海越え結ぶ 竹富で海洋シンポ(琉球新報)

2018年12月19日水曜日

沖縄県労福協フォーラムで講演

20181214日、沖縄県立博物館で開かれた「沖縄県労福協フォーラム」にお招きいただき、第一部の講師を務めました。

2018年度 公益財団法人沖縄県労働者福祉基金協会フォーラム
◇テーマ:子どもの貧困-働く仲間のゆめ・みらい基金で広がる支援の輪―
◇共催:連合沖縄、沖縄県労働金庫、全労済沖縄推進本部、沖縄県勤労者互助会


講演では、「休眠預金等活用について」-新しい公共の構築-という演題で、以下の骨子に沿ってお話ししました。

制度の概要
 1.休眠預金等活用法の概要
 2.制度運用に関わる論点整理
 3.休眠預金等の活用分野(イメージ)
 4.主なスケジュール
制度活用に関する検討
 1.資金分配団体について
 2.制度活用の可能性
 3.公募・申請に関して


休眠預金等活用法が立法の前提にしているのは、‘行政では対応が困難な課題’への取組み。
一方、「自助」「公助」それぞれの限界が指摘される中、助け合い、支え合う「共助」の拡充と、誰もが安心して暮らせる社会の構築が問われています。
今回の‘休眠預金活用’という新しい試みが、その確かな足がかりとなるとともに、沖縄で新しい道が開けることへの期待を申し上げ、講演を締めくくりました。


その後の第二部(シンポジウム)では、「ろうきん 全労済 働く仲間のゆめ・みらい基金で広がる支援の輪」をテーマに、5名のパネリストによるパネルディスカッションが行われ、フォーラムは盛況裡に終了しました。

2018年7月10日火曜日

中央労福協で講演


201875日、新宿ワシントンホテルで開かれた中央労福協(労働者福祉中央協議会)主催 「2018年度事業団体・地方労福協合同会議」にお招きをいただき、講師を務めました。
同会議は、中央労福協、全国47都道府県の地方労福協、事業団体(ろうきん、全労済等)の三者による合同会議で、約80名の方々が出席しました。



講演では、「民間公益活動促進のための休眠預金活用」-制度の概要と有効活用の可能性-というテーマで、以下の骨子に沿ってお話ししました。

◇休眠預金等活用法の概要
◇制度運用に関わる論点整理
◇主なスケジュール
◇資金分配団体としての要件・選定プロセス等
◇制度活用の可能性

今年(2018年)11日に全面施行された「休眠預金等活用法」(民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律)は、預金者が名乗りを上げないまま10年以上異動のない預金等を民間の公益活動促進に役立てることを目的とする、新しい法制度です。
しかし、実際の運用と資金活用事業の実施にあたっては、様々な課題が指摘されており、全国の活動団体への資金交付が見込まれる2020年までに数多くの重要事項をクリアする必要があります。

翻って、「公共」「公益」は、官民の「官」だけに委ねられるものではなく、様々な組織・団体や市民など、多様な主体の関与と協力の中で構築されるものと考えます。
その意味で、「休眠預金等活用」という新たな試みは、地域の現実や生活者の切実なニーズに応える、‘新しい公共’を創り上げていく好機とも考えられます。
会議では、最後にその旨を申し上げて講演を締めくくりました。



お世話になりました中央労福協事務局の花井圭子局長、小川俊明次長には、改めて深謝申し上げます。

2018年6月1日金曜日

「第2次竹富町海洋基本計画(案)」策定、町長に答申

2018525日、「第2次竹富町海洋基本計画策定委員会」の第4回会合(最終会議)が竹富町役場で開催され、西大舛高旬町長に同計画案が答申されました。
NPW代表理事・上妻毅は、本委員会の副委員長として一連の審議と策定作業に参画しました。


第2次竹富町海洋基本計画策定委員
 
土屋  誠 琉球大学名誉教授(委員長)
後藤 和夫 沖縄美ら島財団 常務理事(副委員長)
上妻  毅 ニュー・パブリック・ワークス 代表理事(副委員長)
古川 恵太 笹川平和財団海洋政策研究所 海洋研究調査部長
中平 善伸 内閣府総合海洋政策推進事務局 参事官(後任:安達孝実)    
安藤  繁 内閣府沖縄総合事務局総務部 調査企画課長(後任:大山研次)
遠山 純司 第十一管区海上保安本部 石垣海上保安部長
西村  学 環境省 那覇自然環境事務所長(後任:東岡礼治)
照屋 和久 水産研究・教育機構 西海区水産研究所八重山庁舎所長
山城 秀史 沖縄県 八重山事務所長
与那嶺一文 沖縄県警察 八重山警察署長
鈴木倫太郎 WWFサンゴ礁保護研究センター しらほサンゴ村センター長
上原 亀一 八重山漁業協同組合 組合長
上勢頭 保 竹富町商工会 会長
大浜 一郎 八重山経済人会議 代表幹事
平良 彰健 西表島エコツーリズム協会 会長
前鹿川健一 竹富町副町長


策定委、第2次計画を答申 竹富町海洋基本計画
5/26八重山毎日)


国境離島 施策強化へ 海洋基本計画を答申
5/26八重山日報)

竹富町は、20113月、日本の地方自治体として初めて「海洋基本計画」を策定しました。
今回の第2次計画案は、第1次計画に基づく各種の取組み(施策・事業等)の検証と評価、また、竹富町を取り巻く社会経済情勢や様々な環境の変化をふまえ、新たに策定されました。
一方、政府「第3期海洋基本計画」が2018515日に閣議決定されました。
竹富町の第2次計画案は、今後の国の海洋施策の方向性や重点課題を把握しつつ、内閣府総合海洋政策推進事務局の参加と協力も得て、検討作業を重ねました。

「第2次竹富町海洋基本計画()」の理念および主要テーマ
 
【理念】
~美ら海とともに生きる町~
新たな発展と海洋立国への貢献
 
【主要テーマ】
1.亜熱帯海域と島々の大自然、生物多様性と貴重な生態系を保全する
2.島々の離島苦を克服し、災害に強い安全・安心な生活環境を実現する
3.海洋及び島々の資源と特性を活かした産業振興を推進する
4.町民が守り、育む伝統文化や景観を次世代に継承する
5.国境離島地域の保全と振興を推進する

本計画案は、竹富町議会(20186月定例議会)に上程され、改定が行われる見込みです。
計画の策定は出発点。今後は上記5つの主要テーマに基づく21の施策をいかに展開していくかが焦点になります。
「第2次竹富町海洋基本計画」に基づく一つ一つの取組みが、地域の発展と町民に寄与することを願いつつ、進展を見守っていきたいと思います。

2017年6月23日金曜日

異業種交流会で講演

6月14日、那覇セントラルホテルで開かれた異業種交流会にお招きを頂き、講師を務めました。
会の名称は「ふろしき会」。立ち上げからは既に二十年前後、毎月第3水曜日に催されている歴史ある勉強会で、当日は県内外から約20名の方々が参加されました。



講演では、「今後の離島振興に関する私見」というテーマで、以下の題材を中心にお話しさせていただきました。 
◇沖縄21世紀ビジョン基本計画改定(案)に関する意見(2017年3月)
◇竹富町新庁舎建設のあり方に関する提言(2015年7月)
◇「島」のいま、「島」のこれからを考える(2013年3月)



講演後は活発な質疑や意見が交わされ、また、懇親会、二次会を含めて、楽しく、有意義なひとときでした。 
諸々お世話になった事務局の仲間直樹さんに、この場をお借りして感謝申し上げます。 

2017年2月21日火曜日

NPW広報/「離島過疎地域振興部会」開催


2017年1月16日と2月13日、沖縄県振興審議会の専門部会「離島過疎地域振興部会」が開催されました。(会場:沖縄県南部合同庁舎)
審議会は5年ごとに実施され、今回は、策定から5年目を迎えた『沖縄21世紀ビジョン基本計画』の中間評価をふまえた改定案の審議を目的としています。
当法人代表理事の上妻は、「離島過疎地域振興部会」の副部会長として審議に参加しました。 
2回にわたる会議では、事務局(県企画部地域・離島課)から、離島・過疎地域の現状、沖縄21世紀ビジョン基本計画の中間評価と改定案が説明されるとともに、<離島における定住条件の整備><離島の特色を生かした産業振興><離島の条件不利性克服><圏域別振興の方向>に関して審議が行われました。

当部会の中で、上妻は特に小規模離島の人口減少問題を取り上げ、以下を念頭に置いた早急な対応と取組み強化の必要性を提起しました。
*石垣島を除く県内の有人離島では、半世紀以上にわたって人口減少傾向が続いていること。
*住民の島外流出/高齢化/少子化がさらに進展する中、特に小規模離島では、‘地域存続の危機’が一気に顕在化することも考えられること。
*島の危機的状況に目を向け、実効性のある施策・事業を検討し、タイミングを逃さずに実施すること。



【上妻意見書(抜粋)】

意 見

第4章(克服すべき沖縄の固有課題)の2(離島の条件不利性の克服と国益貢献)における「解決の道筋」および関連箇所に関して、記載事項全般の拡充が必要。

理由等

中間評価に明記された17項目の‘新たな課題に対応した施策の展開方向’のうち、「地方創生の推進」では、当部会の主題に関わる以下の重要な記載が見られる。

○地域社会を支える活動の担い手の減少により、離島などの一部町村では、地域社会の維持が困難になることが懸念されている。 
○自然増の拡大、社会増の拡大、離島・過疎地域の振興の取組みを加速させることにより、離島・過疎地域を含む県全域で、バランスの取れた人口の維持・増加を図っていく。

「離島の条件不利性克服」をめざす基本計画として、こうした重大な課題をふまえた取組みの方向や道筋を明記すべき。
その際、念頭に置くべき状況、早急な取組みが求められる問題として小職が申し上げたのは以下の通り。

○現実に進行し、今後、大多数の有人離島で加速していくことが予想される人口減少問題。
○実例としての鳩間島島人口43名のうち、県外からの受入れを含む児童・生徒が3名、教職員関係が10名(約1/3)。小中学校の維持・存続が困難になれば、地域・コミュニティの存続自体が危ぶまれる危機に直面する。
○鳩間島で生じている問題は鳩間島だけの問題ではない。特に小規模離島では、住民の島外流出・高齢化・少子化がさらに進展する中、地域存続の危機が一気に顕在化・拡大することも考えられる。
2025年頃からの県全体の人口減も予測される一方、既に多数の有人離島では恒常的な人口減少が続いている。その意味でも、より厳しさを増す今後の離島・過疎地域に対応する実効的な施策・事業の立案と実施、モデルケースの構築やノウハウの蓄積が必要である。

沖縄21世紀ビジョン基本計画の改定案は、平成28年度中に9つの専門部会による調査審議が終了し、成案として答申が行われる見込みです。
5年に一度開催される審議会がセレモニーで終わることなく、各部会での論議や改定案に寄せられた多種多様な意見が今後の取組みに十分に生かされていくことを望みます。