2021年11月12日、第5回「離島過疎地域振興部会」が開かれました。
令和元年の部会発足から2年にわたる審議の最終会合となる今回は、これまでの審議結果の総括と合わせて議論が交わされました。
また、2022年度以降10年を計画期間とする新たな振興計画全体の「計画展望値」の一つ、「離島人口」についても非公開審議を行いました。
以下、上妻の発言要旨(抜粋)を記します。
今後の離島振興に関する補足意見
37の県内有人離島、とりわけ小規模離島のニーズや課題を重視すべき。「離島市町村」や「圏域」といった十把一絡げの扱いで、例えば、小さな島の医療に関わる切実なニーズがなおざりにされるようなことがあってはならない。
事務局から報告された「グルーピングによる新しい離島振興策」は重要な試み。島の規模の相違はもちろん、交通条件、地域資源、島で提供可能なサービス、拠点病院との距離など様々な要素を整理すると、島々の条件や課題に共通性も見出せるはず。
但し、こうしたグルーピングは、グループ毎のパターンやグループ別の施策展開などに繋げるものではないはず。島単位で地域のニーズと課題を把握し、よりきめ細かく対応していくことが基本。
新たな振興計画における「離島人口」の設定(計画展望値)について
「計画展望値」なる沖縄県の指標は、「努力目標」の意味合いも備えている。人口動態のトレンドに即した「推計値」とは異なる。設定すべき「離島人口」は、少なくとも‘現状維持’以上であるべき。その上で、離島人口に関する厳しい将来推計も踏まえ、実効性のある取組に全力をあげるべき。
国立社会保障・人口問題研究所による推計(平成30年「日本の地域別将来推計人口」)では、2030年には県内全ての離島市町村で2015年の人口を下回り、さらに2045年には、7つの離島町村で2015年の70%を下回る人口減が予想されている。
一方、「沖縄県人口増加計画」(2014~2021年度)では、①「自然増の拡大」、②「社会増の拡大」とともに、③「離島・過疎地域の振興」が取組の柱に掲げられている。この間、離島・過疎地域に関わる人口増加計画に基づき、いかなる施策が講じられ、どれだけの成果を上げたのか。
また、拠点離島(宮古島、石垣島)と中小零細規模の離島では、施策のニーズも実施すべき内容も異なる。当該計画においてこの点はどれほど意識されたのか。
県あるいは社会保障・人口問題研究所による離島人口の「推計値」。他方、現状維持または微増を前提とする離島人口の「目標値」。この両者のギャップを埋める施策は、離島振興を‘沖縄振興の1丁目1番地’と標榜する沖縄県が政策・資源を総動員して取り組むべき。
社会増に向けた移住(Ⅰターン)促進に関しては、県外の離島や過疎地域が実践している地元行政主導の新事業創出(例:島根県海士町)を含め、‘島に仕事を創る’取組が重要。沖縄県は本腰を入れて支援すべき。
復帰半世紀という歴史的な節目を迎える中、<離島・過疎地域>という視点/立ち位置から、これからの沖縄振興のあり方を考え、審議を重ねる貴重な機会に参加できました。
長期間にわたる当部会の審議にあたっては、たくさんの方々に大変お世話になりました。深く御礼申し上げます。
とりわけ、部会長として一方ならぬご指導と貴重なご教示、各般のご高配をいただいた嘉数啓先生に衷心から感謝の意を表します。