2021年9月1日、第3回「離島過疎地域振興部会」が開かれました。
会議後半は「農林水産業振興部会」との合同会議として開催され、「離島ごとの環境・特性を生かした農林水産業の振興」等をテーマに論議が交わされました。
以下、上妻発言要旨
離島ごとの環境・特性を生かした農林水産業の振興(産業振興)
Ⅰ.就業者減少の中の「持続可能な離島モデル」
◆離島過疎地域:生産地としての大きな役割
離島過疎地域の人口
(ア)県内15の離島市町村:沖縄県全人口の8.6%ほど
(イ)離島市町村に北部4町村を加えた離島過疎地域:全人口の約10%
一方、(ア)(イ)の農林水産生産量が沖縄県全体に占める割合は格段に大きい。
新しい振興計画の中で‘離島過疎地域が生産地として果たしている大きな役割’が明確に読み取れるよう配慮願いたい。
◆農林水産業:持続可能な雇用としての重要性
産業が限られる離島過疎地域にとって農林水産業は非常に重要。
・一次産業が基幹産業の島 (例)黒島、多良間島
・就業者の6~7割を一次産業が占める島もある (例)津堅島、来間島
人口減少の観点からも‘持続可能な産業かつ雇用’としての農林水産業の重要性は極めて大きい。
◆就業者数の減少
危惧されるのは就業者数の減少。
県内37有人離島の産業別就業者の増減(国勢調査ベース)
・農業従事者:2010年9,763人→2015年8,684人(△1,079人)
相当規模の減少であることは間違いない。
2015年→2020年はどうだったか?
◆離島農業の担い手問題
「総点検報告書」(2020年3月)に挙げられた対策
○農林水産業、食品加工業等を支える担い手の育成や技術支援
○新規就農者の長期的な育成・確保(青年、女性、農外など幅広い層への研修の充実等)
○雇用就農の促進および受け皿の農業法人の育成、就農希望者とのマッチング等
◆新計画における政策は?
2010~2015年の農業従事者の減少
・沖縄全体:2,004人(25,981→23,977)=7.7%減
・離島地域:1,079人(9,763→8,684)=11%減
離島の就業者減少はより顕著。‘それは致し方ない’ということか?
<離島ごとの環境・特性を生かした農林水産業の振興>(素案P131~132)を読む限り、就業者減少への対応策は見えない。
<農林水産業を支える多様な担い手の育成・確保>(素案P175)、<担い手の経営力強化>(素案P120~121)で離島地域もカバーするということか?
◆持続可能な離島モデルを
沖縄の農林水産の基盤である離島過疎地域で、県全体に先駆けて‘担い手の減少’が進行中。
その一方で「生産量」「生産高」の拡大を見込めるのか?
‘今後、状況は深刻化していく’という想定の中で「持続可能なモデル」を創れるか。離島過疎地域の切実な状況を踏まえた政策、具体策の検討を願う。
以下、追加意見
Ⅱ.離島過疎地域の農水振興戦略(付加価値創出、流通対策、地産地消)
◆「離島農林水産物の生産振興とブランド化の推進」について
素案記載の骨子
○各離島の特色を生かした園芸作物のブランド化
→定時・定量・定品質の出荷が可能な拠点産地の形成など
○流通条件の不利性解消
→流通施設の整備、輸送コストの低減など
○域内経済循環の拡大
→農商工連携による付加価値の創出、生産品のブランド化など
これらは、県全体の農水振興関連施策と合わせて展開すべき。
関連施策<多様なニーズに対応するフードバリューチェーンの強化>(素案P118)
○食品産業など他産業との連携による農林水産物の付加価値向上
○農林水産物の輸送コストの低減対策、総合的な流通の合理化
○地産地消等による県産農林水産物の消費拡大
<健康機能性のエビデンスに基づくブランディング>(素案P119)
離島過疎地域の園芸作物(島野菜、薬草など)の生産・技術支援とより強く結びつけるべき。
→健康・長寿に関わるエビデンス(例:抗酸化物質、ミネラル)とともに付加価値を創出、さらにブランド化を目指す。
<輸送コストの低減対策、総合的な流通の合理化>(素案P119)
○生産地から消費地までのコールドチェーン体制の確立、船舶輸送を基本とするモーダルシフトへの移行促進
○成果指標:「県外出荷量のうち船舶輸送での出荷量の割合」
Q:離島の流通条件の不利性解消につながる話なのか?
Q:「生産地から消費地までのコールドチェーン体制」 に小・中規模の離島は入っているのか?
Q:「船舶輸送での出荷量の割合」が輸送コスト低減と流通合理化の指標となるのか?
Q:離島の流通条件の不利性解消の具体策はあるのか?
ex.流通施設の整備、輸送コストの低減(施策、成果指標など)
<地産地消による消費拡大>(素案P119~120)
地産地消:離島過疎地域の経済循環、強いコミュニティ経済の実現に不可欠。
ホテル・飲食店等との連携強化については、施設や店舗のない離島過疎地域の生産者を含め、契約栽培の促進・支援を強化してもらいたい。
食育、特に給食を通じた地産地消の拡大は離島過疎地域の生産者も巻き込んだ展開に期待。
資源とアイディアを総動員し、「島内」「域内」「県内」など 異なるスケール/エリアに則した多元的な地産地消を推進されたい。
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