2026年11月4日水曜日

沖縄県振興審議会(第74回)開催

 2026年11月2日、沖縄県振興審議会(第74回)が那覇市内で開催され、当法人代表理事の上妻毅も委員として参加しました。

会議では、古謝元太知事から審議会に対し、「新・沖縄21世紀ビジョン基本計画(第6次沖縄振興計画)」の改定が諮問されました。

◆琉球新報(2026.11.3)

新21世紀ビジョン改定案 沖縄県振興審議会に諮問 空港と基地跡地の一体開発「GW2050」着実に

https://ryukyushimpo.jp/politics/entry-5586996.html


◆沖縄タイムス(2026.11.4)

沖縄振興計画の見直し案 有識者らが議論開始 渋滞対策や鉄軌道見据え素案を検討 県振興審議会が那覇市内で開催

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1958446

県振興審議会(会長・喜納育江琉球大学長)が2日、那覇市内で開かれた。古謝玄太知事から諮問を受け、2026年度が基本計画の折り返しとなる第6次沖縄振興計画の見直しについて、有識者や関係者らが議論した。来年4月には改定計画案を答申する予定。

県の素案では人口減少や物価高、コロナ禍以降の県経済、人手不足や公共交通を取り巻く課題など、社会情勢の変化を反映した新たな項目が追加された。

特に公共交通を取り巻く課題では、沖縄本島の中南部都市圏を中心とした慢性的な交通渋滞による経済損失が約1455億円に上ることから「深刻な状況」と位置付けた。

このような課題を踏まえ、交通関連の施策を新たに追加。公共交通の利用促進のほか、将来の鉄軌道導入を見据えた主要幹線交通ネットワークの構築などを掲げている。そのほか、県立中部病院の整備推進、住宅整備に係る離島コストの低減や高度人材の育成なども盛り込まれた。

那覇空港や米軍基地返還予定地の一体開発を目指す「GW2050PROJECTS」については、跡地利用計画などへの反映に向けて検討を進めることを明記した。

 今後は総合部会で章ごとに審議。改定計画の決定は来年5月となる見込み。

以下、上妻発言要旨

評価検証報告書で示された新たな課題について

社会経済情勢の変化が及ぼした沖縄への影響を踏まえて整理された課題に関連し、2つの重要事項があると考える。

1.レジリエンス(強靭性、回復力):リスクに持ち堪えられる沖縄経済

2.サスティナビリティ(持続可能性):38の有人離島を含む持続可能な島嶼社会

振興計画に求められること

沖縄の‘持続可能な成長’を支える計画であること。

以下、<人口>と<離島>の2つの視点から私見を申し述べる。

人口の維持に関して

社会の活力と成長の基盤は<人口>。人口減少が不可逆的に加速すると、経済成長も社会システムの維持もより困難になる。まさに日本本土が陥っている状況である。一方、沖縄の現状は、日本本土が陥っている状況とイコールではない。

人口の動態やトレンドに基づく人口推計(ex. 国立社会保障・人口問題研究所による将来推計)があるが、沖縄県として講じる施策を前提に組み込んだ政策目標の設定が重要。

2014年に着手した『沖縄県人口増加計画』を含め、人口の増加・維持を支える課題と施策の再整理が必要ではないか。

小規模離島について

県内38の有人離島のうち、人口5,000人未満の離島は35島。

小職も委員の一人として参加した「万国津梁会議」では、人口5,000人未満の島を<小規模離島>として位置づけ、持続可能な社会構築への課題や具体策を論議した。

小規模離島では、評価検証で主な課題に挙げられた「人口減少」「物価高」「人手不足」などがより顕著となっている。

特に人口の減少に関しては、長年にわたる‘社会減’と、県人口のピークアウトに伴う‘自然減’が同時並行で進行する状況となり、とりわけ離島人口の減少加速が懸念される。

ちなみに、2000年前後(1998年~2002年)の多良間村の合計特殊出生率は、全国一位の‘3.14’。にもかかわらず、出生数を超える島民の流出により、その当時も多良間村の人口は減少している。多くの小規模離島で見られた‘自然増を上回る社会減’が、現在は ‘自然減と社会減の同時進行’に変化した状況にある。

万国津梁会議では、小規模離島の現状を「沖縄全体の近未来」と捉え、県民全体の課題として受け止めるべきとし、計54の施策を提言した。

離島の条件不利性の克服にとどまらず、新しい利益や価値を生み出す<プロフィットセンター>としての島々の可能性、沖縄県庁と離島町村による新しい広域行政<沖縄モデル>の推進などを提起しているが、その基軸となる方向性は「持続可能な島嶼社会」であると考える。

2026年9月4日金曜日

提言書手交式(小規模離島における持続可能な社会の実現に関する万国津梁会議)

 

2026年8月31日、有識者による「小規模離島における持続可能な社会の実現に関する万国津梁会議」提言書の手交式が行われました。

沖縄県庁で行われた手交式では、知念肇委員長(琉球大名誉教授)から大城肇副知事に提言書が手渡され、当法人代表理事の上妻毅も同席しました。


今回の提言は、2025年8月から一年にわたる議論をまとめたもので、「島々が結ぶ新しい共創のかたち」を副題に、生活コストの負担軽減、小規模離島を支える‘沖縄モデル’の構築など、計54項目の施策を含む五本柱の提言が盛り込まれています。

◆琉球新報(2026.9.4)

島しょは価値生む拠点 沖縄県に5分野提言 万国津梁会議

https://ryukyushimpo.jp/politics/entry-5497802.html

◆沖縄タイムス(2026.9.2)

離島振興54施策提言 万国津梁会議が県に

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1915037

◆NHK(2026.9.7)

小規模離島の持続可能な社会実現へ 有識者会議が提言

https://news.web.nhk/newsweb/na/nb-5090036787

◆QAB/琉球朝日放送(2026.9.2)

人口減少や高齢化に対応 小規模離島の支援策を県に提言

https://www.qab.co.jp/news/20260902304582.html

◆宮古毎日新聞(2026.9.1)

小規模離島の持続化策を提言 県へ若者定住や物流維持など 万国津梁会議

https://www.miyakomainichi.com/news/news-193248/



おかげさまで大変有意義な取組に参加できました。

お力添えをいただいた全ての方々に深く感謝申し上げます。


2026年8月17日月曜日

沖縄県「小規模離島における持続可能な社会の実現に関する万国津梁会議」(最終会議)

2026年8月5日、沖縄県「小規模離島における持続可能な社会の実現に関する万国津梁会議」(第5回・最終会議)が竹富町の竹富島で開催されました。


今回の会議では、沖縄県知事への手交が予定されている提言書の素案の内容を中心に審議を行いました。


提言書の骨子

目標

小規模離島における持続可能な社会の実現

現状と課題

(1)生活コストの負担軽減

(2)担い手の確保

(3)住宅の確保

(4)島を支える物流ネットワークの確保

(5)航路・航空路等の公共交通の維持

(6)島の生活基盤を支える施設の維持・更新と事業者の確保

(7)持続可能な公共サービスを支える体制(沖縄モデル)の構築

(8)関係人口の創出

(9)多様な主体との連携

(10)島の活性化と産業振興

(11)こどもたちが安心して進学できる環境の整備

(12)離島の医療・福祉・子育ての提供体制について

(13)小規模離島に特化した独自の補助制度の創設

提言

1.生活コストの軽減と物流・交通ネットワークの充実

2.小規模離島を支える「沖縄モデル」の構築と担い手及び住宅の確保

3.若者と多様な人材の定住促進、島の資源と魅力を生かした産業振興(プロフィットセンターへの転換)

4.医療、福祉、教育基盤の整備

5.小規模離島の持続可能な社会の構築に向けたアプローチ

また、上妻毅からは、本提言書に追加すべき内容として、小規模離島に関わる以下の重要事項を提起しました。

〇黒糖工場の存続

島の基幹産業である黒糖工場(含蜜糖製糖工場)は、多くの小規模離島の地域経済と定住の基盤となっている。厳しい財政状況の克服と経営存続に向けた国・沖縄県・離島町村・JA等によるさらなる連携を求める。

〇小規模離島におけるSWGs(持続可能なウェルビーイング目標)の推進

幸福や心身の健康を中心に捉えた未来志向の目標「SWGs」は、経済成長や物質的な便益だけではない豊かさを大切にしてきた小規模離島でこそ具現化されることが相応しい。離島地域における持続可能な社会の形成とともに、人・社会・地球の調和と幸福を追求するSWGsを積極的に推進する。

*SWGs(Sustainable Well-being Goals)

 2030年に期限を迎えるSDGsの次を見据えた概念目標。開発(Development)中心のSDGsに対して、幸福や心身の健康など個人/社会の良い状態を意味するWell-beingを新しい目標に設定している。

報道記事
 
◆琉球新報(2026.8.6)

黒糖工場赤字、連携が必要 離島課題解決へ48項目提言案 万国津梁会議

https://ryukyushimpo.jp/politics/entry-5435824.html


◆沖縄タイムス(2026.8.6)

人口5000人以下の小規模離島 課題解決へ「新しい共創」 万国津梁会議、県への提言素案まとめる

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1896908


◆沖縄八重山日報(2026.8.6)

物流ネット維持など答申へ 小規模離島の万国津梁会議

https://www.yaeyama-nippo.co.jp/article/32524


玉城デニー知事への本提言書の手交は、8月31日を予定しています。

2026年8月13日木曜日

竹富町黒島を視察(小規模離島における持続可能な社会の実現に関する万国津梁会議)

2026年8月4日、沖縄県「小規模離島における持続可能な社会の実現に関する万国津梁会議」による竹富町黒島の現地視察に参加しました。

主な視察先

●港に放置された輸送用パレット

●閉鎖した生コンクリート施設(2026年3月末に閉鎖)

●町立診療所

●集落内の空き家

●職員住宅建設予定地

●家畜市場(牛のセリ市会場など)

現場の実状をうかがい、離島町村が直面している様々な課題を学ぶ貴重な機会になりました。

現地をご案内いただいた竹富町役場のご担当者をはじめ、ご協力をいただいた関係者の方々に深く御礼申し上げます。

黒島港の牛

港に放置された大量のパレット

閉鎖した生コン施設の跡

竹富町立黒島診療所

診療所のドクターと研修生

伊古桟橋

集落内の空き家

職員住宅建設

たま商店の猫

黒島研究所

オニダルマオコゼ

JAおきなわ黒島家畜市場

セリ市会場

フェリー到着

島の夕方

八重山の海

2026年5月22日金曜日

沖縄県「小規模離島における持続可能な社会の実現に関する万国津梁会議」(第4回)開催

2026年5月20日、第4回「小規模離島における持続可能な社会の実現に関する万国津梁会議」が那覇市内で開かれ、当法人代表理事の上妻毅も委員として参加しました。

今回の会議では、今年8月の提言書の取りまとめに向けて、そのたたき台となる提言案の内容を中心に論議が行われました。


以下、報道記事を掲載します。

◆沖縄タイムス(2026.5.21)

提言実現に向け政策実行者明記 県万国津梁会議、離島支援議論

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1841453


◆
八重山毎日新聞(2026.5.21)

病院船、ごみ処理など議論 小規模離島に関する津梁会議

◆琉球新報(2026.5.22)

離島格差に補助制度 万国津梁会議 22項目提言

https://ryukyushimpo.jp/politics/entry-5263024.html



2026年4月14日火曜日

琉球朝日放送『検証 動かぬ基地』-普天間返還合意から30年-

 2026年4月10日、琉球朝日放送(QAB)で以下の特集が放映されました。

『検証 動かぬ基地』

普天間返還合意から30年 沖縄が描いた「グランドデザイン」とは

https://www.qab.co.jp/news/20260410289965.html

1996年の普天間基地返還合意から三十年の節目に制作される特集の皮切りとなる報道で、当法人は、関係資料の提供、東京支社でのインタビューなどの協力をさせていただきました。

特集です。普天間基地の返還に日米両政府が合意してから12日で30年が経ちます。

今回は『検証 動かぬ基地』と題して、基地から派生する問題や国の安全保障について検証する特集を改めてお送りします。

30年前、当時の大田県政が描いていた「国際都市形成構想」。基地を含めた沖縄全体の構想を、新たに見つかった資料とともに振り返ります。


橋本龍太郎総理(当時)

「普天間飛行場は今後5年ないし7年以内に、これから申し上げるような措置が取られた後に、全面返還されることになります」

1996年4月、当時の橋本総理が表明した普天間基地の全面返還。

一方、当時の沖縄県政は、米軍基地のない未来と自立的な発展を描いていました。その計画に迫ります。

ニュー・パブリック・ワークス 上妻毅氏

「(基地で)虫食い状態の県土だけを相手にする将来構想ではなくて、基地を返還せしめ、その跡地を利用していくということでは、リンクというより表裏一体な話」

上妻毅さん、1990年代の県の構想策定に携わったコンサルタントです。当時の県が策定したのは「国際都市形成構想」。基地の存在を前提とせず、県内各地に国際交流や物流拠点などを置き、自立的発展を目指したプランです。

実務面を取り仕切ったのは、当時の吉元政矩副知事。

吉元政矩副知事(当時)

「沖縄は、東アジア、南太平洋を含んだ中心、ど真ん中という意識を持っていただきたい」

「(沖縄から)3000㎞でぐるっとコンパスを回す。その範囲は私たちの職域、働く範囲。そこまで手を伸ばしてみようじゃないかというのが、国際都市形成の一つの考え方」

周辺国や地域とのつながりを目指して、1992年頃から県は計画策定を進めていました。そうした中で起きた、1995年のアメリカ兵による少女暴行事件。

県内から基地の整理縮小を求める声が高まる中、全国的にもいわゆる「沖縄問題」が注目を集めました。

当時の大田知事と村山総理の会談。県側は、このタイミングで国際都市形成構想と合わせ、基地返還を求める「アクションプログラム」の試案を政府側に示します。

上妻さんは最近、書類を整理する中で、当時、政府側に示した資料を見つけたといいます。この時、国際都市形成構想での自立発展とセットで示した、3段階に分けて基地の返還を求めたアクションプログラム。非現実的とみる政府側の反応もある中で、こう切り返していたといいます。

上妻氏

「95年当時、(官僚は)2015年に嘉手納を返すなんてもう笑っちゃう、お花畑みたいな話、それに近い趣旨で言ったんだと思う」

「(吉元副知事が)20年先の話を可能性も含めてあなたは断言できるのかと言ったら、(政府側は)それ以上しゃべらなかったという話を聞いた。ありとあらゆるポシビリティがあると思うわけ」

一方、大田元知事について著作もある沖縄国際大学の野添文彬教授。国際都市形成構想の県政での位置づけを解説します。

沖縄国際大学 野添文彬教授

「沖縄県側がこのような具体的な要求をしてくる、沖縄県がこうした準備をしてくるということを、当時、日本政府は予想していなかったところがある」

「(大田元知事は)研究者時代の経験もあって、地方分権に非常に関心を持っていた。同時に、沖縄戦の体験者ということもあって、平和にも関心を持っていた」

「大田氏の人生が、ある意味で沖縄の近現代史を象徴するものだった。そういう中で、吉元氏が副知事として支えながらビジョンを具体化していったとみている」

1996年になって政府側では橋本内閣が発足。4月に普天間基地の全面返還を示します。日米両政府は1996年の末、SACO最終報告として一部の基地返還の方針を打ち出しました。

上妻氏

「投げるべきボールを自分たちで作って、(国側に)投げた」

「絶対に、最も譲れないのは普天間というのは、一貫して吉元さんは主張していた」

「SACOがこの基地返還アクションプログラムの考え方をできる限り汲んだ形だと思いたいけれど、その中に普天間が入ってくるのは当然でしょ、と思う」

ただ、30年前に示された普天間基地の返還は、普天間基地の移設先として名護市辺野古が示され、政治的な混乱が続き、普天間基地はいまも宜野湾市の真ん中に存在し続けています。

野添教授

「沖縄県側は日米安保や日本の安全保障のあり方、全体の構造の問題として、普天間の辺野古移設問題を捉えている。対して日本政府側が考える普天間の辺野古移設問題は、危険性除去ということに絞られ、そこにずっとズレがあるまま今日まで来ている」

橋本総理(当時)

「平和で活力に満ち、潤いのある地域の実現を目指した『21世紀・沖縄のグランドデザイン』は、沖縄県がその願いを込めた構想であると承知いたしております」

一方の国際都市形成構想。国側は協力姿勢を一定示したものの、県内の合意形成や県庁内の態勢の不調、大田県政の終焉など、様々な要因でフェードアウトした形となりました。

上妻氏

「吉元さんが言っていた。白いキャンバスに思い切って将来像を描いてください、と」

普天間の返還合意から30年。アメリカ軍専用施設が沖縄に集中し、近年は対中国を標榜した拠点化も進む中、沖縄の自立的な発展は許されないのでしょうか。

上妻氏

「悲しいくらいの日米関係の現実。アメリカは戦利品だと思っているんじゃないかとも思うわけ、いまだに沖縄中の基地を」

「そのアメリカですら、これは動かないとまずいと、この時は動いたわけですよ。同じことが、また同じ可能性があるかどうかは全くわからない」

「米中関係も含めてこれからを考えた時に、沖縄問題は塩漬け、沖縄の基地は塩漬けですか、と聞きたいね」