2026年9月4日金曜日

提言書手交式(小規模離島における持続可能な社会の実現に関する万国津梁会議)

 

2026831日、有識者による「小規模離島における持続可能な社会の実現に関する万国津梁会議」提言書の手交式が行われました。

沖縄県庁で行われた手交式では、知念肇委員長(琉球大名誉教授)から大城肇副知事に提言書が手渡され、当法人代表理事の上妻毅も同席しました。


今回の提言は、20258月から一年にわたる議論をまとめたもので、「島々が結ぶ新しい共創のかたち」を副題に、生活コストの負担軽減、小規模離島を支える‘沖縄モデル’の構築など、計54項目の施策を含む五本柱の提言が盛り込まれています。

琉球新報(2026.9.4

島しょは価値生む拠点 沖縄県に5分野提言 万国津梁会議

https://ryukyushimpo.jp/politics/entry-5497802.html

沖縄タイムス(2026.9.2

離島振興54施策提言 万国津梁会議が県に

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1915037

QAB/琉球朝日放送(2026.9.2

人口減少や高齢化に対応 小規模離島の支援策を県に提言

https://www.qab.co.jp/news/20260902304582.html

宮古毎日新聞(2026.9.1

小規模離島の持続化策を提言 県へ若者定住や物流維持など 万国津梁会議

https://www.miyakomainichi.com/news/news-193248/



おかげさまで大変有意義な取組に参加できました。

お力添えをいただいた全ての方々に深く感謝申し上げます。


2026年8月17日月曜日

沖縄県「小規模離島における持続可能な社会の実現に関する万国津梁会議」(最終会議)

202685日、沖縄県「小規模離島における持続可能な社会の実現に関する万国津梁会議」(第5回・最終会議)が竹富町の竹富島で開催されました。


今回の会議では、沖縄県知事への手交が予定されている提言書の素案の内容を中心に審議を行いました。


提言書の骨子

目標

小規模離島における持続可能な社会の実現

現状と課題

(1)生活コストの負担軽減

(2)担い手の確保

(3)住宅の確保

(4)島を支える物流ネットワークの確保

(5)航路・航空路等の公共交通の維持

(6)島の生活基盤を支える施設の維持・更新と事業者の確保

(7)持続可能な公共サービスを支える体制(沖縄モデル)の構築

(8)関係人口の創出

(9)多様な主体との連携

10)島の活性化と産業振興

11)こどもたちが安心して進学できる環境の整備

12)離島の医療・福祉・子育ての提供体制について

13)小規模離島に特化した独自の補助制度の創設

提言

1.生活コストの軽減と物流・交通ネットワークの充実

2.小規模離島を支える「沖縄モデル」の構築と担い手及び住宅の確保

3.若者と多様な人材の定住促進、島の資源と魅力を生かした産業振興プロフィットセンターへの転換

4.医療、福祉、教育基盤の整備

5.小規模離島の持続可能な社会の構築に向けたアプローチ

また、上妻毅からは、本提言書に追加すべき内容として、小規模離島に関わる以下の重要事項を提起しました。

〇黒糖工場の存続

島の基幹産業である黒糖工場(含蜜糖製糖工場)は、多くの小規模離島の地域経済と定住の基盤となっている。厳しい財政状況の克服と経営存続に向けた国・沖縄県・離島町村・JA等によるさらなる連携を求める。

〇小規模離島におけるSWGs(持続可能なウェルビーイング目標)の推進

幸福や心身の健康を中心に捉えた未来志向の目標「SWGs」は、経済成長や物質的な便益だけではない豊かさを大切にしてきた小規模離島でこそ具現化されることが相応しい。離島地域における持続可能な社会の形成とともに、人・社会・地球の調和と幸福を追求するSWGsを積極的に推進する。

SWGsSustainable Well-being Goals

 2030年に期限を迎えるSDGsの次を見据えた概念目標。開発(Development)中心のSDGsに対して、幸福や心身の健康など個人/社会の良い状態を意味するWell-beingを新しい目標に設定している。

報道記事
 
琉球新報(2026.8.6

黒糖工場赤字、連携が必要 離島課題解決へ48項目提言案 万国津梁会議

https://ryukyushimpo.jp/politics/entry-5435824.html


沖縄タイムス(2026.8.6

人口5000人以下の小規模離島 課題解決へ「新しい共創」 万国津梁会議、県への提言素案まとめる

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1896908


沖縄八重山日報(2026.8.6

物流ネット維持など答申へ 小規模離島の万国津梁会議

https://www.yaeyama-nippo.co.jp/article/32524


玉城デニー知事への本提言書の手交は、831日を予定しています。

2026年8月13日木曜日

竹富町黒島を視察(小規模離島における持続可能な社会の実現に関する万国津梁会議)

202684日、沖縄県「小規模離島における持続可能な社会の実現に関する万国津梁会議」による竹富町黒島の現地視察に参加しました。

主な視察先

港に放置された輸送用パレット

閉鎖した生コンクリート施設20263月末に閉鎖

町立診療所

集落内の空き家

職員住宅建設予定地

家畜市場(牛のセリ市会場など

現場の実状をうかがい、離島町村が直面している様々な課題を学ぶ貴重な機会になりました。

現地をご案内いただいた竹富町役場のご担当者をはじめ、ご協力をいただいた関係者の方々に深く御礼申し上げます。

黒島港の牛

港に放置された大量のパレット

閉鎖した生コン施設の跡

竹富町立黒島診療所

診療所のドクターと研修生

伊古桟橋

集落内の空き家

職員住宅建設

たま商店の猫

黒島研究所

オニダルマオコゼ

JAおきなわ黒島家畜市場

セリ市会場

フェリー到着

島の夕方

八重山の海

2026年5月22日金曜日

沖縄県「小規模離島における持続可能な社会の実現に関する万国津梁会議」(第4回)開催

2026520日、第4回「小規模離島における持続可能な社会の実現に関する万国津梁会議」が那覇市内で開かれ、当法人代表理事の上妻毅も委員として参加しました。

今回の会議では、今年8月の提言書の取りまとめに向けて、そのたたき台となる提言案の内容を中心に論議が行われました。


以下、報道記事を掲載します。

沖縄タイムス(2026.5.21

提言実現に向け政策実行者明記 県万国津梁会議、離島支援議論

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1841453


八重山毎日新聞(2026.5.21

病院船、ごみ処理など議論 小規模離島に関する津梁会議

琉球新報(2026.5.22

離島格差に補助制度 万国津梁会議 22項目提言

https://ryukyushimpo.jp/politics/entry-5263024.html



2026年4月14日火曜日

琉球朝日放送『検証 動かぬ基地』-普天間返還合意から30年-

 2026410日、琉球朝日放送(QAB)で以下の特集が放映されました。

『検証 動かぬ基地』

普天間返還合意から30年 沖縄が描いた「グランドデザイン」とは

https://www.qab.co.jp/news/20260410289965.html

1996年の普天間基地返還合意から三十年の節目に制作される特集の皮切りとなる報道で、当法人は、関係資料の提供、東京支社でのインタビューなどの協力をさせていただきました。

特集です。普天間基地の返還に日米両政府が合意してから12日で30年が経ちます。

今回は『検証 動かぬ基地』と題して、基地から派生する問題や国の安全保障について検証する特集を改めてお送りします。

30年前、当時の大田県政が描いていた「国際都市形成構想」。基地を含めた沖縄全体の構想を、新たに見つかった資料とともに振り返ります。


橋本龍太郎総理(当時)

「普天間飛行場は今後5年ないし7年以内に、これから申し上げるような措置が取られた後に、全面返還されることになります」

19964月、当時の橋本総理が表明した普天間基地の全面返還。

一方、当時の沖縄県政は、米軍基地のない未来と自立的な発展を描いていました。その計画に迫ります。

ニュー・パブリック・ワークス 上妻毅氏

「(基地で)虫食い状態の県土だけを相手にする将来構想ではなくて、基地を返還せしめ、その跡地を利用していくということでは、リンクというより表裏一体な話」

上妻毅さん、1990年代の県の構想策定に携わったコンサルタントです。当時の県が策定したのは「国際都市形成構想」。基地の存在を前提とせず、県内各地に国際交流や物流拠点などを置き、自立的発展を目指したプランです。

実務面を取り仕切ったのは、当時の吉元政矩副知事。

吉元政矩副知事(当時)

「沖縄は、東アジア、南太平洋を含んだ中心、ど真ん中という意識を持っていただきたい」

「(沖縄から)3000㎞でぐるっとコンパスを回す。その範囲は私たちの職域、働く範囲。そこまで手を伸ばしてみようじゃないかというのが、国際都市形成の一つの考え方」

周辺国や地域とのつながりを目指して、1992年頃から県は計画策定を進めていました。そうした中で起きた、1995年のアメリカ兵による少女暴行事件。

県内から基地の整理縮小を求める声が高まる中、全国的にもいわゆる「沖縄問題」が注目を集めました。

当時の大田知事と村山総理の会談。県側は、このタイミングで国際都市形成構想と合わせ、基地返還を求める「アクションプログラム」の試案を政府側に示します。

上妻さんは最近、書類を整理する中で、当時、政府側に示した資料を見つけたといいます。この時、国際都市形成構想での自立発展とセットで示した、3段階に分けて基地の返還を求めたアクションプログラム。非現実的とみる政府側の反応もある中で、こう切り返していたといいます。

上妻氏

95年当時、(官僚は)2015年に嘉手納を返すなんてもう笑っちゃう、お花畑みたいな話、それに近い趣旨で言ったんだと思う」

「(吉元副知事が)20年先の話を可能性も含めてあなたは断言できるのかと言ったら、(政府側は)それ以上しゃべらなかったという話を聞いた。ありとあらゆるポシビリティがあると思うわけ」

一方、大田元知事について著作もある沖縄国際大学の野添文彬教授。国際都市形成構想の県政での位置づけを解説します。

沖縄国際大学 野添文彬教授

「沖縄県側がこのような具体的な要求をしてくる、沖縄県がこうした準備をしてくるということを、当時、日本政府は予想していなかったところがある」

「(大田元知事は)研究者時代の経験もあって、地方分権に非常に関心を持っていた。同時に、沖縄戦の体験者ということもあって、平和にも関心を持っていた」

「大田氏の人生が、ある意味で沖縄の近現代史を象徴するものだった。そういう中で、吉元氏が副知事として支えながらビジョンを具体化していったとみている」

1996年になって政府側では橋本内閣が発足。4月に普天間基地の全面返還を示します。日米両政府は1996年の末、SACO最終報告として一部の基地返還の方針を打ち出しました。

上妻氏

「投げるべきボールを自分たちで作って、(国側に)投げた」

「絶対に、最も譲れないのは普天間というのは、一貫して吉元さんは主張していた」

「SACOがこの基地返還アクションプログラムの考え方をできる限り汲んだ形だと思いたいけれど、その中に普天間が入ってくるのは当然でしょ、と思う」

ただ、30年前に示された普天間基地の返還は、普天間基地の移設先として名護市辺野古が示され、政治的な混乱が続き、普天間基地はいまも宜野湾市の真ん中に存在し続けています。

野添教授

「沖縄県側は日米安保や日本の安全保障のあり方、全体の構造の問題として、普天間の辺野古移設問題を捉えている。対して日本政府側が考える普天間の辺野古移設問題は、危険性除去ということに絞られ、そこにずっとズレがあるまま今日まで来ている」

橋本総理(当時)

「平和で活力に満ち、潤いのある地域の実現を目指した『21世紀・沖縄のグランドデザイン』は、沖縄県がその願いを込めた構想であると承知いたしております」

一方の国際都市形成構想。国側は協力姿勢を一定示したものの、県内の合意形成や県庁内の態勢の不調、大田県政の終焉など、様々な要因でフェードアウトした形となりました。

上妻氏

「吉元さんが言っていた。白いキャンバスに思い切って将来像を描いてください、と」

普天間の返還合意から30年。アメリカ軍専用施設が沖縄に集中し、近年は対中国を標榜した拠点化も進む中、沖縄の自立的な発展は許されないのでしょうか。

上妻氏

「悲しいくらいの日米関係の現実。アメリカは戦利品だと思っているんじゃないかとも思うわけ、いまだに沖縄中の基地を」

「そのアメリカですら、これは動かないとまずいと、この時は動いたわけですよ。同じことが、また同じ可能性があるかどうかは全くわからない」

「米中関係も含めてこれからを考えた時に、沖縄問題は塩漬け、沖縄の基地は塩漬けですか、と聞きたいね」

2026年4月13日月曜日

報道記事/特定利用空港・港湾 識者談話 上妻毅氏

 2026410日の琉球新報に当法人代表理事・上妻毅へのインタビューを含む以下の記事が掲載されました。

特定利用空港・港湾 県内道路整備10件 軍事利用 既成事実化進む

https://ryukyushimpo.jp/politics/entry-5180931.html

識者談話 上妻毅氏(ニュー・パブリック・ワークス代表理事)

「県は主体的に検証を」

https://ryukyushimpo.jp/politics/entry-5180929.html


2026年3月28日土曜日

沖縄県振興審議会(第73回)開催

 2026325日、沖縄県振興審議会(第73回)が那覇市内で開催され、当法人代表理事の上妻毅も委員として参加しました。


本審議会は、2022年度にスタートした10年計画「新・沖縄21世紀ビジョン基本計画(第6次沖縄振興計画)が計画の折り返しを迎えることから招集され、学識経験者19人、関係団体の代表者31人を含む54名で構成されています。

沖縄タイムス(2026.3.25

人口減や物価高 課題に 6次振計前期検証 県、改定反映へ

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1802890

琉球新報(2026.3.25

人口減など新たな課題 県振興審  基本計画改定へ議論

https://ryukyushimpo.jp/politics/entry-5147833.html

以下、上妻発言要旨

小規模離島の現実

評価検証報告書()の第章「新たな課題に対応した施策展開の方向性」では、現計画では十分に対応できていない問題として、人口減少、物価高、人手不足の3つが挙がっている。

沖縄県全体よりも顕著に、これらが深刻な現実になっているのが小規模離島である。宮古島、石垣島を除いたこうした島々が、今のままこれからも持続可能か?という問題意識とともに私見を述べたい。

人口減少

1960年以降、石垣市を除く県内すべての離島自治体で人口の減少が続いてきた。1960年との比較で50%を超える減少となった離島町村は少なくとも9自治体、現在は10を超えていると思う。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計では、さらに深刻な人口減が示されている。

これまでは、島外への住民の流出による‘自然増を上回る社会減’。これが多くの島々の人口動態だった。しかし、今後は‘自然減と社会減の同時進行’という、より厳しく困難な状況に小規模離島は直面する。このことを十分に認識する必要がある。

住宅建築費用

物価と同様、あるいはそれ以上に切実な問題として、離島の住宅建築費がある。

つい最近、西表島・浦内地区のコンクリート造住宅の建築単価は1坪あたり150万円との報道があった。また、生コンクリートの単価は、過去(2006年)の調査で東京都の小笠原村(父島、母島)が1㎥あたり36,000円、本土の都内が12,000円。一方、2024年、八重山の地元紙で石垣島が1㎥あたり41,000円、竹富町小浜島の町営住宅建設で89,000円という数値が報じられている。建設事業者がおらず、コンクリート工場もない離島では、住宅建築に必要な資材も、機材も、すべて島外から運び込まなければならず、また、作業員を含む人の交通費も宿泊費も発生する。

そうした輸送コストや人の移動に伴う全コストが住宅建築費に上乗せされるのが小さな島、二次離島や三次離島の現実である。

人手不足

医療、介護、行政職員、エッセンシャルワーカーなど、様々な人材の確保と人手不足に常に直面しているのが離島町村の実状である。

島の医療・福祉を支える医師、看護師、保健師、介護士、また、島の生命線である航路を支える船員、海事従事者の確保は離島住民の生活と地域の存続に不可欠である。しかし、人材の奪い合いは激しさを増しており、例えば沖縄水産高校の多くの卒業生が県外に就職しているといった状況も聞かれる。

島嶼県としての重要課題

沖縄本島と38の有人離島で構成されるのが沖縄県であることは改めて言うまでもない。

県全体の平均値をまとめるような評価検証では、ともすると小規模離島の深刻で切実、待ったなしの状況が見落とされるのではないか?という心配も伴う。現在の沖縄振興計画が対応できていない課題や問題が顕著に表れている地域への視点を大切に、今後の検討作業を進めてほしい。

加えて一点。島嶼県であるがゆえに生じるコストなど、沖縄固有の課題を改めて深掘りすることが必要と考える。