2021年7月30日、沖縄県振興審議会「離島過疎地域振興部会」が開かれました。
委員は11名。部会長は嘉数啓琉球大学名誉教授。NPW代表理事・上妻は副部会長として参画しています。
2019年11月以来となる本会議では、本土復帰50年の節目の年から始まる「新たな振興計画(素案)」を中心に、今後の調査審議の内容などについて、報告、意見交換が行われました。
沖縄、東京ともに「緊急事態宣言」発出中のコロナ禍の状況下、上妻はオンラインでの会議参加となりました。
以下、上妻発言要旨
◆半世紀の時間軸の中で
復帰半世紀の節目に策定する新しい振興計画ということで、県内離島人口の推移を‘50年の時間軸’で振り返る。
1960年から2010年までの推移で、
・石垣市を除く全ての離島市町村の人口が減少
・離島市町村全体では24%の減少
・9つの町村で50%を超える人口減
といった現実がある。
1972年の復帰から50年となる2022年以降をどう考えるか。当部会の審議に関わる重大な問題。
これまで、沖縄県全体としては人口増加基調の中、離島過疎地域は‘自然増を上回る社会減’という状況。
今後は‘自然減の中のさらなる社会減’という新しい局面、より厳しい状況も考えなければならない可能性がある。
◆離島の定住条件整備
これから求められる定住条件の整備は果たして50年前と同様か?
情報通信、医療福祉をはじめ、インフラもサービスも高度化。
「高度化への対応」と、「コミュニティの維持」「持続可能な地域社会」とを併せて考える必要がある。
◆新計画(素案)の重要事項
第6章「県土のグランドデザイン」の柱の一つに、「小・中規模離島や過疎地域等における持続可能な地域づくり」が明確に打ち出されたことは重要。
但し、具体化する施策がない限り単なるお題目で終わる。こうした点も踏まえた建設的な審議が必要。
◆「量から質へ」の視点
離島の持続的な観光振興に結びつく指標は、「入域観光客数」以外に何があるか。
「1人当たりの消費額」も記載されているが、正確に算出できているのかという問題もある。
担い手となる「人材」に関わる指標を検討できないか。
観光の場合、地元で観光に関わる商品をつくる資格や能力のある人材を、目標値を定めて育成していくといった考え方もあるのではないか。
また、市町村あるいは島単位で、地元の観光収入や収益に関わる指標も検討してみるべきではないか。
◆「離島特定」の枠組み
離島において達成すべき目標が沖縄県全体の中で埋没してはいけない。
離島に特定した枠組みの中、適切な目標値を明確にするべきではないか。
また、圏域別展開の中で小・中規模離島が埋没してしまってはいけない。
八重山の場合、石垣島とそれ以外の島々の関係がある。
広域で対処していくべきこと、他方、それぞれの島の条件と実状を踏まえて目標値を定め、定住条件の底上げを図るべきことの双方が考えられる。
より丁寧な整理ときめ細かな施策が必要。
◆「離島ならでは」の視点
例えば「幸福度」には、コミュニティ、自然環境、精神的な拠りどころといった重要なファクターがあると伺った。
そうした観点から、離島ならではの幸福度について考え、何らかの目標や指標を考えることはできないだろうか。
島の観光や医療 量から質へ転換 県の離島振興部会
(7/31沖縄タイムス)
新しい沖縄振興計画の策定にあたって重要な一翼を担う「離島過疎地域振興部会」の審議がより有益なものとなるように、微力ながら建設的・創造的な議論に貢献したいと思っています。
お疲れさまでした、有難うございました。御発言の中にあった、具体的な施策、定住条件の底上など、どのように計画に反映していくか課題は大きいと思います。引き続き、よろしくお願いします。
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