2021年9月1日水曜日

令和3年度「離島過疎地域振興部会」(第3回)開催

202191日、第3回「離島過疎地域振興部会」が開かれました。

会議後半は「農林水産業振興部会」との合同会議として開催され、「離島ごとの環境・特性を生かした農林水産業の振興」等をテーマに論議が交わされました。

以下、上妻発言要旨

離島ごとの環境・特性を生かした農林水産業の振興(産業振興)

 

Ⅰ.就業者減少の中の「持続可能な離島モデル」

 

離島過疎地域生産地としての大きな役割

離島過疎地域の人口

(ア)県内15の離島市町村沖縄県全人口の8.6%ほど

(イ)離島市町村に北部4町村を加えた離島過疎地域全人口の約10

一方、(ア)(イ)の農林水産生産量が沖縄県全体に占める割合は格段に大きい。

新しい振興計画の中で‘離島過疎地域が生産地として果たしている大きな役割’が明確に読み取れるよう配慮願いたい。

農林水産業持続可能な雇用としての重要性

産業が限られる離島過疎地域にとって農林水産業は非常に重要。

一次産業が基幹産業の島 (例)黒島、多良間島

就業者の67割を一次産業が占める島もある (例)津堅島、来間島

人口減少の観点からも‘持続可能な産業かつ雇用’としての農林水産業の重要性は極めて大きい。

就業者数の減少

危惧されるのは就業者数の減少。

県内37有人離島の産業別就業者の増減国勢調査ベース

農業従事者20109,763人→20158,6841,079

相当規模の減少であることは間違いない。

2015年→2020年はどうだったか? 

離島農業の担い手問題

「総点検報告書」(20203月)に挙げられた対策

○農林水産業、食品加工業等を支える担い手の育成や技術支援

○新規就農者の長期的な育成・確保青年、女性、農外など幅広い層への研修の充実等

○雇用就農の促進および受け皿の農業法人の育成、就農希望者とのマッチング等

新計画における政策は?

20102015年の農業従事者の減少

沖縄全体2,004人(25,98123,977)=7.7%減

離島地域1,079人(9,7638,684)=11%減

離島の就業者減少はより顕著。‘それは致し方ない’ということか?

<離島ごとの環境・特性を生かした農林水産業の振興>(素案P131132を読む限り、就業者減少への対応策は見えない。

<農林水産業を支える多様な担い手の育成・確保>(素案P175、<担い手の経営力強化>(素案P120121で離島地域もカバーするということか?

持続可能な離島モデルを

沖縄の農林水産の基盤である離島過疎地域で、県全体に先駆けて‘担い手の減少’が進行中。

その一方で「生産量」「生産高」の拡大を見込めるのか?

‘今後、状況は深刻化していく’という想定の中で「持続可能なモデル」を創れるか。離島過疎地域の切実な状況を踏まえた政策、具体策の検討を願う。

 

以下、追加意見

Ⅱ.離島過疎地域の農水振興戦略付加価値創出、流通対策、地産地消

 

「離島農林水産物の生産振興とブランド化の推進」について

素案記載の骨子

○各離島の特色を生かした園芸作物のブランド化

→定時・定量・定品質の出荷が可能な拠点産地の形成など

○流通条件の不利性解消

→流通施設の整備、輸送コストの低減など

○域内経済循環の拡大

→農商工連携による付加価値の創出、生産品のブランド化など

これらは、県全体の農水振興関連施策と合わせて展開すべき。

関連施策<多様なニーズに対応するフードバリューチェーンの強化>(素案P118

○食品産業など他産業との連携による農林水産物の付加価値向上

○農林水産物の輸送コストの低減対策、総合的な流通の合理化

○地産地消等による県産農林水産物の消費拡大

<健康機能性のエビデンスに基づくブランディング>(素案P119

離島過疎地域の園芸作物(島野菜、薬草など)の生産・技術支援とより強く結びつけるべき。

→健康・長寿に関わるエビデンス(例:抗酸化物質、ミネラル)とともに付加価値を創出、さらにブランド化を目指す。

<輸送コストの低減対策、総合的な流通の合理化>(素案P119

○生産地から消費地までのコールドチェーン体制の確立、船舶輸送を基本とするモーダルシフトへの移行促進

○成果指標「県外出荷量のうち船舶輸送での出荷量の割合」

離島の流通条件の不利性解消につながる話なのか?

「生産地から消費地までのコールドチェーン体制」 に小・中規模の離島は入っているのか?

「船舶輸送での出荷量の割合」が輸送コスト低減と流通合理化の指標となるのか?

離島の流通条件の不利性解消の具体策はあるのか?

ex.流通施設の整備、輸送コストの低減施策、成果指標など

<地産地消による消費拡大>(素案P119120

地産地消離島過疎地域の経済循環、強いコミュニティ経済の実現に不可欠。

ホテル・飲食店等との連携強化については、施設や店舗のない離島過疎地域の生産者を含め、契約栽培の促進・支援を強化してもらいたい。

食育、特に給食を通じた地産地消の拡大は離島過疎地域の生産者も巻き込んだ展開に期待。

資源とアイディアを総動員し、「島内」「域内」「県内」など 異なるスケールエリアに則した多元的な地産地消を推進されたい。

2021年8月19日木曜日

令和3年度「離島過疎地域振興部会」(第2回)開催

 2021817日、第2回「離島過疎地域振興部会」が開かれました。

会議では「離島における安全・安心の確保と魅力ある生活環境の創出」を中心に審議が行われました。


以下、上妻の発言要旨を記します。

離島における安全・安心の確保と魅力ある生活環境の創出(定住条件整備)

 

沖縄全域の地下水の保全と利用

水質調査だけ、あるいは特定の圏域(宮古圏)だけの対策で充分か?

地下水について、もっと踏み込んで沖縄県の方針を明確にすべき。

水循環基本法

20216月、水循環の中に‘地下水の保全と利用’を明記した改正「水循環基本法」が成立。自治体の条例制定も主眼に‘地下水マネジメント’が国と地方公共団体の責務として明確化された。

河川のない多数の島々を含め、地下水の適正な保全・利用は沖縄県の重要政策課題。

有害物質PFOS

有機フッ素化合物PFAS(PFOS、PFOAの合計値)による深刻な環境汚染が進行している。

20211月に県が公表した米軍基地周辺のPFAS汚染に関する水質調査結果では、嘉手納基地周辺の地下水で環境省暫定指針の60倍(3,000ナノグラム)、宜野湾市の湧き水で40倍(2,000ナノグラム、過去最高値)を検出。他方、2月には航空自衛隊那覇基地からのPFOSを含む泡消化剤の流出も発生。

使用も製造も禁止された‘永遠の化学物質’から地下水を守る。離島を含む沖縄全域の課題ではないか。今後を見据えた方針と施策を明確にすべき。

離島を含む廃棄物の広域処理

素案記載の「一般廃棄物と産廃のあわせ処理」「施設整備に係る市町村負担軽減」「広域化の促進」「輸送費の低減」「海岸漂着物対策」は妥当。

より考慮されるべき離島の現実は、①処理能力の限界、②高コスト構造、③環境負荷への脆弱性。

処理能力の限界と環境汚染の現実

素案では「高コスト構造」改善への取組(施設整備、輸送費等)は読み取れる。

しかし、離島とりわけ小・中規模離島の「処理能力の限界」は深刻な問題。ここにフォーカスした施策が求められるのではないか。

持続不可能な最終処分場問題、島の処理能力の限界に伴う環境汚染は現実に進行している。沖縄県としての認識と見解を伺う。

離島を含む広域処理と海上輸送体制

「複数市町村による広域処理の促進」は離島のゴミ問題解決への一つの解(具体策)と理解。

離島を含む広域処理の推進には海上輸送が不可欠。島嶼県の政策課題と考える。

離島を含む廃棄物の広域処理にあたって沖縄県が担う役割、また、海上輸送体制の充実について見解を伺う。

スマートアイランド新たなモビリティの導入など

「空港・港湾等の交通拠点を連結する道路整備を推進し、島内移動手段の連携接続に取り組む」旨、シームレスな島嶼型交通体系構築の一環として理解。

一方、「離島の条件不利性克服」に向けては、‘先端技術を活用した不利性の解消’、また、島嶼型モビリティの導入を含む‘スマートアイランド実現’への取組も記載されている。

モビリティ ✕ スマートアイランド

県外離島ではグリーンスローモビリティ(時速20km未満で公道を走る電動・低速の公共交通)や低コストの自動運転システムを導入する社会実験も実施されている。

「島内移動手段のシームレスな連携接続」への施策は、道路整備、バス路線の確保・維持だけではないのではないか?

MaaS

自家用車以外の交通手段を繋ぐMaaSMobility as a Service)は、シームレスな島嶼交通システム構築の一環として離島でこそ積極的に推進すべき。

離島地域への新技術の先行導入

今般、ドローン物流の実用化、空飛ぶクルマ(eVTOL)の本格導入への準備等も進展中。

離島の定住条件整備と条件不利性の克服にあたっては、新技術の積極活用と離島地域への先行導入が望まれる。計画への明確な位置づけを求める。


離島過疎地域の振興に係る成果指標等

 

離島観光

施策展開「持続可能で高品位な離島観光の振興」

施策「着地型観光プログラム等の定着」

成果指標「離島地域への入域観光客数及び一人当たり観光消費額」

‘量を追う観光から質を重視する観光へ’の転換を含め、離島観光の担い手/人材の育成を主眼とする指標を設定できないか。

関連施策「多彩で質の高いサービスを提供できる観光人材の育成・確保」の成果指標が「観光客の沖縄旅行に対する満足度」となっているが、いかがなものか。

*「観光人材の育成・確保」の達成状況を「観光客の満足度」で確認するのか?

人材の育成に関しては、研修や資格取得などの具体策もあり、総点検では「観光人材育成研修受講者数」が挙げられていた。

離島関係の受講者数、離島での研修開催件数、また、第3種旅行業の資格取得件数等を指標とすることも考えられる。

高品位な離島観光の振興と人材の育成について適切な指標を設定いただきたい。

テレワーク

施策展開「離島を核とする関係人口の創出と移住促進」

施策「離島におけるテレワーク、ワーケーション等の推進」

成果指標「国内客の離島宿泊客数」

指標を「テレワーク・ワーケーション推進施設の利用者数」に変更予定とのこと、適切な対応と考える。

克服すべき沖縄の固有課題「離島の条件不利性克服と持続可能な島嶼地域の形成」においても、‘離島におけるテレワークやワーケーションの促進’が明記されている。

テレワークに関しては、離島住民のテレワーク推進(環境整備、人材育成)がより重要ではないか。

雇用創造型のテレワーク人材育成ということでは、「離島ICT利活用促進事業(離島テレワーク人材育成補助事業)」が実施されている。

離島の新しい雇用創出を主眼とするテレワーク人材育成の指標を検討されたい。

離島過疎地域の人口

計画展望値(社会)「離島人口」

「離島人口」に加えて、以下の計画展望値を設定してはどうか。

(1)小・中規模離島の人口

37の有人離島から「宮古島」「石垣島」を除いた35島の人口

15の離島市町村から「宮古島市」「石垣市」を除いた13町村の人口

(2)離島過疎地域の人口

離島市町村と北部過疎地域4町村の19市町村

離島と北部過疎の19市町村から「宮古島市」「石垣市」を除いた17町村の人口


2021年8月5日木曜日

令和3年度「離島過疎地域振興部会」(第1回部会)開催

2021730日、沖縄県振興審議会「離島過疎地域振興部会」が開かれました。

委員は11名。部会長は嘉数啓琉球大学名誉教授。NPW代表理事・上妻は副部会長として参画しています。

201911月以来となる本会議では、本土復帰50年の節目の年から始まる「新たな振興計画(素案)」を中心に、今後の調査審議の内容などについて、報告、意見交換が行われました。

沖縄、東京ともに「緊急事態宣言」発出中のコロナ禍の状況下、上妻はオンラインでの会議参加となりました。

以下、上妻発言要旨

半世紀の時間軸の中で

復帰半世紀の節目に策定する新しい振興計画ということで、県内離島人口の推移を‘50年の時間軸’で振り返る。

1960年から2010年までの推移で、

・石垣市を除く全ての離島市町村の人口が減少

・離島市町村全体では24%の減少

・9つの町村で50%を超える人口減

といった現実がある。

1972年の復帰から50年となる2022年以降をどう考えるか。当部会の審議に関わる重大な問題。

これまで、沖縄県全体としては人口増加基調の中、離島過疎地域は‘自然増を上回る社会減’という状況。

今後は‘自然減の中のさらなる社会減’という新しい局面、より厳しい状況も考えなければならない可能性がある。

離島の定住条件整備

これから求められる定住条件の整備は果たして50年前と同様か?

情報通信、医療福祉をはじめ、インフラもサービスも高度化。

「高度化への対応」と、「コミュニティの維持」「持続可能な地域社会」とを併せて考える必要がある。

新計画(素案)の重要事項

第6章「県土のグランドデザイン」の柱の一つに、「小・中規模離島や過疎地域等における持続可能な地域づくり」が明確に打ち出されたことは重要。

但し、具体化する施策がない限り単なるお題目で終わる。こうした点も踏まえた建設的な審議が必要。

「量から質へ」の視点

離島の持続的な観光振興に結びつく指標は、「入域観光客数」以外に何があるか。

「1人当たりの消費額」も記載されているが、正確に算出できているのかという問題もある。

担い手となる「人材」に関わる指標を検討できないか。

観光の場合、地元で観光に関わる商品をつくる資格や能力のある人材を、目標値を定めて育成していくといった考え方もあるのではないか。

また、市町村あるいは島単位で、地元の観光収入や収益に関わる指標も検討してみるべきではないか。

「離島特定」の枠組み

離島において達成すべき目標が沖縄県全体の中で埋没してはいけない。

離島に特定した枠組みの中、適切な目標値を明確にするべきではないか。

また、圏域別展開の中で小・中規模離島が埋没してしまってはいけない。

八重山の場合、石垣島とそれ以外の島々の関係がある。

広域で対処していくべきこと、他方、それぞれの島の条件と実状を踏まえて目標値を定め、定住条件の底上げを図るべきことの双方が考えられる。

より丁寧な整理ときめ細かな施策が必要。

「離島ならでは」の視点

例えば「幸福度」には、コミュニティ、自然環境、精神的な拠りどころといった重要なファクターがあると伺った。

そうした観点から、離島ならではの幸福度について考え、何らかの目標や指標を考えることはできないだろうか。


島の観光や医療 量から質へ転換 県の離島振興部会

7/31沖縄タイムス)

新しい沖縄振興計画の策定にあたって重要な一翼を担う「離島過疎地域振興部会」の審議がより有益なものとなるように、微力ながら建設的・創造的な議論に貢献したいと思っています。

2021年7月12日月曜日

NPW広報/沖縄県国際都市形成構想を知る「上妻毅オーラルヒストリー 第2回」(季刊誌「しまたてぃ」)

 

季刊誌「しまたてぃ」(一般社団法人沖縄しまたて協会)の20217月号(No.97)が発行されました。



前号に続く2回目のインタビューは、2021414日、聞き手の江上能義先生(琉球大学・早稲田大学名誉教授)、編集者の砂川敏彦さん(沖縄しまたて協会)とともに都内で実施しました。

ほぼ三十年の関わりとなった「沖縄」について、かつて全力で取り組んだ90年代の仕事を振り返り、同時に、自分自身のキャリアも総決算するような、大変得難い機会となりました。


来年5月には「沖縄復帰」から半世紀の節目を迎えます。

歴史的局面にある沖縄に関連し、専門誌「しまたてぃ」の意義深い企画に関わらせていただけたことを心から感謝しています。


2021年4月29日木曜日

NPW広報/沖縄県国際都市形成構想を知る「上妻毅オーラルヒストリー 第1回」(季刊誌「しまたてぃ」)

 

一般社団法人沖縄しまたて協会が編集・発行している建設情報誌「しまたてぃ」の20214月号(No.96)に以下が掲載されました。

上妻毅オーラルヒストリー 第1回



同誌では、1990年代の沖縄県「国際都市形成構想」の検証を中心に、構想の立案や推進に関わった関係者へのロングインタビューを行っています。

これまで、元県職員の坂口一氏、元副知事の吉元政矩氏のオーラルヒストリーが各2回掲載され、お二人に続いて、当時、財団法人都市経済研究所特別主任研究員だった上妻毅へのインタビューが行われました。

聞き手は、政治学者の江上能義氏(琉球大学/早稲田大学名誉教授)。

江上先生は、国土事務次官等を歴任した故下河辺淳氏のオーラルヒストリーをはじめ、数多くの関係者へのインタビューを編纂した『沖縄開発庁および沖縄振興開発政策オーラルヒストリー』など、復帰後の沖縄振興の実態と全体像を最も理解している沖縄政治研究のオーソリティです。

インタビューは昨年1125日、沖縄しまたて協会の編集責任者砂川敏彦氏が同席し、都内で行われました。


有意義な企画に協力できたことを大変有り難く思っています。


一般社団法人沖縄しまたて協会ホームページ


2020年11月23日月曜日

NPW広報/沖縄県「新たな離島振興計画策定に向けた有識者委員会」開催

 

20201118日、沖縄県「新たな離島振興計画策定に向けた有識者委員会」(第2回)が座間味村役場で開かれました。
委員は6名。NPW代表理事・上妻は委員長として参画しています。
また、4名の方々に専門委員としてご指導とご協力をいただいています。

沖縄県「新たな離島振興計画策定に向けた有識者委員会」

(委員)

上妻  毅 一般社団法人ニュー・パブリック・ワークス代表理事(委員長)

鯨本あつこ 特定非営利活動法人離島経済新聞社 統括編集長

小島愛之助 公益財団法人日本離島センター専務理事

三友 仁志 早稲田大学大学院アジア太平洋研究科長・教授

宮里  哲 座間味村長・県離島振興協議会 会長

森田  賢 沖縄県企画部地域・離島課 課長

(専門委員)

落合 陽一 筑波大学准教授・メディアアーティスト

崎原 栄作 公益社団法人地域医療振興協会 おきなわ医療センター長

濱中 香理 海士町役場 人づくり特命担当課長

山口 功作 合同会社側用人代表社員・元エストニア投資庁日本支局長



沖縄県の離島振興計画は、10年ごとに改訂され、現在は20122021年度を計画期間とする『住みよく魅力ある島づくり計画』(沖縄21世紀ビジョン離島振興計画)に基づく各種の取組みが進められています。
本委員会は、現在37の県内有人離島を対象に、2022年度以降の新しい離島振興の方向性や計画のあり方を検討することを主眼としています。
9月に続く今回の会合では、以下の議事に即して論議と意見交換を行いました。

議事:次期離島振興計画(骨子)の検討

◇計画の構成

◇施策展開のあり方

-持続可能な離島コミュニティの形成

-離島フロンティアの戦略的推進

◇離島グループ別振興方策

-各離島の現状と課題(離島カルテ)

-離島グルーピング

◇その他


委員会では、従来の離島振興施策の柱である、

1.離島における定住条件の整備

2.離島の特色を生かした産業振興と新たな展開

を以下に言い換え、様々な論議を積み重ねています。

1.持続可能な離島コミュニティの形成

2.離島フロンティアの戦略的推進

-島の資源・魅力と地域特性を生かした産業振興の推進-


以下、上妻の提言(骨子)を記します。

持続可能な離島コミュニティの形成


◇人口減少への対応
国立社会保障人口問題研究所:2030年には県内全ての離島市町村が2015 年の人口を下回ると推計
従来:‘自然増を上回る社会減’
今後:‘自然減の中の社会減’へ。「限界離島」の発生も。
◇関係人口増加への取組みの強化
地域の活力を維持しながら、緩やかな人口減少に対処。
「適疎」(適度に疎がある状態)の視点
◇人材確保
専門人材の確保は特に重要。(例:保健師)
UJIターンの移住策とリンクした取組みの強化
◇交通
都市部に立地する病院、商業施設、教育機関等を利用しやすい交通条件の整備
利便性と安定性を確保する交通ネットワークの構築と住民の負担軽減
海、空、陸の交通手段がシームレスに連結する交通システム(離島版MaaS)
◇廃棄物処理
離島地域:一般廃棄物、産業廃棄物、プラス 海岸漂着物
環境負荷に対するキャパシティ、処理能力の限界、高コスト構造
島嶼地域の諸条件に適合する新しい広域処理体系の構築

離島フロンティアの戦略的推進


◇離島観光
比較優位の資源(例:静寂、夜空)を活用した‘持続可能で高品位な離島観光’
地域・住民と観光客・旅行者が価値を共有する‘レスポンシブルツーリズム’
障害の有無や年齢に関わりなく、誰もが安心して楽しめる‘ユニバーサルツーリズム’
観光困難者と家族をターゲットとする‘新しい関係人口’の創出
旅行業、持続可能なツーリズム、観光地経営等のノウハウを備えた人材の確保・育成
島の魅力や資源を生かした地元主体の観光振興と収益の拡大
◇農業と食
離島農産物の高付加価値化、ブランド化
健康・長寿に関わるエビデンスの実証(例:島野菜、薬草)
◇離島経済
生産者と連携した離島経済の活性化
既存の流通システムに依存しない直売機能の拡充(オンライン市場等)
地産地消の促進、コミュニティ経済の構築(島内循環、相互扶助)
域内循環の拡大と脱‘ザル経済’(離島地域におけるモデル化)

ポストコロナの離島振興


離島にいながら高い生活水準を享受できる環境づくり
1)テレワーク
都市と同様に業務が実施できる環境の構築(通信基盤、スペース等)
テレワーク人材の育成(島外からの業務受託等)
2)遠隔教育
離島における教育機会の充実と高度化
3)遠隔医療
離島のニーズを踏まえた医療サービスの向上(在宅医療・介護を含む)
4)生活条件
移動コスト、物流コストの低減、その他生活に係る各種負担の軽減
デジタル化による行政サービスの向上
5)移住促進
移住先としての魅力の向上(新しい働き方・ライフスタイルへの対応等)
6)DX(デジタルトランスフォーメーション)
リモートトリップを通じたリアルトリップへの誘導、eコマースの高度化など
離島における5Gの地域実装、先端技術の利活用(スマートアイランド等)


次回の委員会は年明け1月の開催を予定しています。
離島地域の実状とニーズ、様々な課題を見据えて、より充実した論議と検討作業ができるよう微力を尽くしたいと思います。

2020年6月25日木曜日

NPW広報/寄稿「沖縄の離島と持続可能な観光・ツーリズム」(月刊自治研6月号)

65日発行の「月刊自治研」6月号にNPW代表理事・上妻毅の寄稿が掲載されました。




月刊自治研 20206月号
【特集】沖縄から見るインバウンドと持続可能な観光

「沖縄の離島と持続可能な観光・ツーリズム」

-観光客数拡大主義との訣別-

というタイトルでまとめています。

全世界が例外なく直面し、観光・ツーリズムにも計り知れない衝撃と影響を与えているコロナ危機は、地域がそれぞれの持続可能な観光戦略を考える好機ではないでしょうか。
ご関心のある方はご笑読ください。