2024年1月5日(金)、沖縄タイムスの特集記事にNPW代表理事・上妻毅のコメントが掲載されました。
軍民共用へ「呼び水」 真の離島振興と言えず
特集「インフラ整備 潜む防衛の影」㊦
ニュー・パブリック・ワークス上妻毅代表理事
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1285617
防衛体制の強化に向け、自衛隊や海上保安庁の利用を前提に、政府が民間の空港と港湾の拡張などを進める公共インフラ整備。県内の離島振興などに携わってきたニュー・パブリック・ワークス代表理事の上妻毅氏は「円滑な軍民共用の道を開くための“呼び水”となるのは間違いない」と警鐘を鳴らす。
公共インフラ整備について政府は、自衛隊による年数回の訓練利用が前提で「米軍の使用は念頭に置いていない」と繰り返してきた。
だが、これまで米軍は、屋良覚書に基づき民間以外の目的で使わないとされる下地島空港に飛来するなど「想定外の運用」を繰り返してきた。上妻氏は、既に各地で日米共同訓練が実施されているとし、今回も「当然、米軍が使う前提だろう」と推測。県や県民が求めてきた基地負担軽減と逆行するとみている。
2007年には与那国町の祖納港への米海軍掃海艇の寄港を巡り、事前に通知を受けた当時の外間守吉町長は外務省を通じて反対の意思を通達し、県は自粛を要請したにもかかわらず、米軍は「友好親善」の名目で寄港した。
与那国町への自衛隊配備の動きが表面化したのもその頃からだ。「掃海艇が入港する以前から島の軍事拠点化への準備は着々と進められてきた」と振り返り、県に対し、「寄港を強行された当時を思い出すべきだ」と訴える。
一方、人口減少などを背景に、経済振興につなげようと、かねて求めてきたインフラ整備の好機と捉え、政府方針に賛同する自治体もある。自治体の足元を見た計画の悪質さを上妻氏は指摘する。自衛隊配備や防衛予算に頼っても与那国町のように元々住んでいた人の流出には歯止めがかかっていない現状があることから「防衛に求めるのは筋違い。真の離島振興とは言えない」と批判した。
政府が挙げる施設候補の中でも特に、下地島空港の軍事利用や与那国町比川地区への港湾新設は、地元や県民からの反対の声も大きい。上妻氏は、地元の懸念や反対を払拭できない疑念があるとし、こう問いかけた。
「地元が置き去りのまま、誰がための整備か」
(政経部・東江郁香)
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