2023年11月17日金曜日

報道記事/第2回「竹富町訪問税審議委員会」

2023119日、竹富町訪問税審議委員会に出席しました。

第2回となる会議では、当該訪問税の課税対象、徴収方法、税率などを審議しました。

以下、各メディアの報道を紹介します。

日本経済新聞2023.11.10

沖縄県竹富町、訪問税2000円に 審議委員会が方針

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJC104XO0Q3A111C2000000/

沖縄県竹富町が導入を検討している訪問税額を巡り、有識者などでつくる審議委員会は1人当たり2000円が妥当との見解をまとめた。20241月以降、一般からの意見募集や住民説明会を経て最終的な答申を町に提出する。町は答申を踏まえて町議会で条例を定め、24年度中の実現をめざす。

学者や地元代表者らで構成する委員会(委員長・青木宗明神奈川大教授)が9日に町内で開いた会合で、全会一致で決めた。

訪問税は自治体が条例により独自に課す法定外税にあたる。このうち特定の費用に充てる「目的税」と異なり、使途の自由度が高い「普通税」として徴収する。条例制定後に総務相の同意を経て導入が決まる。

徴収方法は船舶や航空運賃への上乗せを想定する。町民や未就学児は対象に含めない。町民以外で頻繁に往来する人には年間で一定の額を納めてもらう方向で検討する。

竹富町は石垣島を中心とする八重山諸島にあり、竹富島や世界自然遺産に登録された西表島など9つの有人離島を抱える。4000人あまりの人口に対し、新型コロナウイルス禍前には年間100万人以上の観光客が訪れていた。

町は「外部からの来訪によって標準を上回る行政需要が発生している」として、来訪者に負担を求める手立てを検討してきた。

町の試算では来訪者の増加に対応するための港湾や道路、水道施設などのインフラ整備に10億円ほどかかる。救急患者の輸送や防災対応も含めると、計20億円程度の費用が必要になると見積もっている。

世界遺産の西表島では自然環境を保護するためエコツーリズム推進法に基づく一部エリアでの入域制限を24年度にも始める。訪問税は「財源不足に伴う行政サービスの低下を防ぐ」(町税務課)狙いがあり、観光客数に制限をかける目的ではないとの位置づけだ。

前泊正人町長は「環境保全によって次の代に竹富町の自然をつないでいく責務がある」と強調する。「地域の人や来訪者にしっかりしたサービスを提供する体制を整えるという狙いを丁寧に説明したい」とも語る。

町では19年度から、竹富島で300円の「入島料」を任意で徴収してきたが、21年度の実績は約730万円で収受率は14%にとどまっていた。

訪問税を巡っては広島県廿日市市が、世界遺産の厳島神社がある宮島を訪れる人から1100円を徴収する「宮島訪問税」を10月に始めた。竹富町が検討中の訪問税と同様の法定外普通税で、島のトイレ整備やゴミ処分など維持管理の財源に活用する。

海外ではガラパゴス諸島(エクアドル)で入島時に海外客を対象に100ドル(約15000円)の入島税を課す例などがあるが、国内で2000円の水準は珍しい。

沖縄県内では環境美化など使途を明確にした法定外目的税を4つの離島自治体が取り入れ、1回の入域につき100円を徴収している。沖縄県は「観光振興を目的とする新税」(宿泊税)の26年度の導入を目指すが、業界団体からは「税の使い道が不明瞭」と慎重な検討を求める声も上がっている。

琉球新報2023.11.10

竹富町の「訪問税」観光客12000円で検討 来年度にも導入、全国でも最高額か 船舶や航空運賃への上乗せを想定

https://ryukyushimpo.jp/news/politics/entry-2462465.html

沖縄県の竹富町が検討を進めている訪問税(仮称)の徴収額について、有人島への入域客1人当たり2千円とする見通しであることが9日、分かった。使い道を定めず徴収する法定外普通税とする。訪問税に関する審議委員会(委員長・青木宗明神奈川大学教授)の2回目会合が同日、町役場で開かれ、徴収額2千円で意見が一致した。町によると観光に関連した法定外普通税の導入は県内初で、全国でも2例目となる。

竹富町には西表島や波照間島など九つの有人島がある。町は20241月に住民説明会などを実施し、早ければ24年度中にも導入したい考えだ。

県内では使途を特定した法定外目的税として伊是名と伊平屋、渡嘉敷、座間味の4村が環境協力税などの名目で導入し、それぞれ入域者1人当たり100円を徴収している。全国では宿泊税として、長崎市などが最大500円、京都市が最大千円を課税し、竹富町の2千円は入域者らへの税として最高額となる可能性がある。

竹富町は来年1月にパブリックコメントを実施。審議委はその後に3回目の会合を開き、最終報告案をまとめ、前泊正人町長に答申する。町は町議会3月定例会に条例案を提出し、可決されれば総務相の同意を得て導入となる流れ。徴収方法は有人島への船舶や航空機の運賃に上乗せする予定だ。

会合は非公開で、終了後に町担当者が琉球新報の取材に応じた。

【深掘り】竹富町、12000円の訪問税検討 今後の使途や徴収対象は?

https://ryukyushimpo.jp/newspaper/entry-2462696.html#Echobox=1699585160


沖縄タイムス2023.11.10

沖縄・竹富町の「訪問税」は千円に 年間100万人、人口の250倍の観光客が訪れる島々 オーバーツーリズム対策に

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1254138

沖縄県竹富町が導入を検討している訪問税(仮称)を巡り、町内外の有識者でつくる審議委員会(委員長・青木宗明神奈川大学教授)は9日、町内への来訪者から徴収する金額について「1人当たり2千円が妥当」と結論付けた。年間約100万人の来訪者を支える安定的な財源確保とともに、防災や持続可能な観光地づくりのために必要と判断した。年明けに住民説明会やパブリックコメントを実施し、最終的な取りまとめをして町に答申。町は議会での審議を経て、来年度以降の実現を目指す。

竹富町が検討している訪問税は、使い道の自由度が高い「法定外普通税」。国内での導入例は、日本三景の一つで世界遺産・厳島神社がある宮島(広島県廿日市市)のみ。宮島では1人当たり100円となっている。

離島ターミナルがある石垣から町内離島への船賃は、最も安い石垣-竹富の往復1520円(大人)から石垣-波照間の往復7830円(同)まで7路線。訪問税は、船賃などに上乗せして徴収する方針。町民は対象外で、介護など住民生活に欠かせない目的での来訪者は割り引くことを検討している。

竹富町の人口は約4千人で、年に人口の250倍超に当たる計約100万人が訪れる。港の整備やごみ処理などにかかる費用は年間約10億円。患者搬送やヘリポートの更新などの防災関連を含めた予算は計約20億円に上る。当初は1人当たり千円で試算していたが、行政サービスの費用は年々増加している。

審議委員会の青木委員長は訪問税導入による観光への影響を踏まえつつ、財政難やオーバーツーリズムなどの持続可能な観光地づくりの課題を挙げ「将来的な投資が不可欠で2千円が妥当との結論に達した」と述べた。

「訪問税」

竹富町が導入を検討している「法定外普通税」。「法定外税」は地方税法に定める税目以外に、地方自治体が条例で新設した独自課税で、特定の費用に充てる「目的税」と、使い道が自由な「普通税」がある。広島県廿日市が今年10月から「普通税」として宮島を訪れる人から1人100円の徴収を始めた。

12000円の「訪問税」、島の出身者が集まる「郷友会」の扱いはどうなる? 行事の練習で頻繁に往来 竹富町

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1254059

沖縄県竹富町が導入を検討している訪問税を「1人当たり2千円が妥当」と審議委員会が判断した。「住民が納得できる説明を」「来訪者へのサービスは」。予想されていた額より高く、関係者からは慎重な見方や注文を付ける声も出ている。

審議委員会委員の1人で町議会の大久研一議長は、行政負担の解消のため一定の理解を示しつつ「住民が納得する説明が必要だ」と語った。懸念しているのは郷友会の扱い。近隣の石垣市などには元町民が住んでおり、行事の練習や打ち合わせで頻繁に往復する。「島々の交流や伝統文化の継承に影響が出ないように」と配慮を求めた。

オーバーツーリズムを巡っては「竹富・西表島では当てはまるが、観光客を求めている島もある。必ずしも町内一律が望ましいわけではない」と指摘した。

沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は「徴収後の事業内容に注目したい」と述べた。自然保護や行政サービスに充てつつ「税を支払う来訪者にもどういったサービスが提供できるか検討する必要がある」とした。

県は2026年度に法定外目的税の観光目的税(宿泊税)の導入を計画し、宿泊事業者が宿泊者から徴収する形を想定している。下地会長らは税負担の公平性などから宿泊料金の3%にすること、使い道を検証する組織を設置することなどを県に求めている。竹富町の訪問税を巡っても、徴収する事業者らへの配慮を求め「業務を担う船会社などにも寄り添った制度設計が求められる」と話した。

八重山毎日新聞2023.11.10

「訪問税」12000円に 竹富町審議委、行政需要を勘案

八重山日報2023.11.10

訪問税「2千円が妥当」 審議委で結論、船賃に上乗せ 竹富町

https://yaeyama-nippo.co.jp/archives/22117

第2回竹富町訪問税審議委員会(委員長・青木宗明神奈川大学教授)が9日午前、竹富町役場で開かれた。審議会は観光客などの来訪によって発生する行政需要をまかなうため竹富町訪問税(仮称)について「2千円が妥当」と結論づけた。2千円は船賃に上乗せして徴収し、住民票を持つ町民と町民の扶養家族は対象外となる。今後、住民説明会やパブリックコメント等で意見を聴取し、来年1月末に第3回審議会を開いて報告書をまとめていく方針。税金の使途を限定した法定目的税ではなく、限定しない法定外普通税として2025年度の導入を目指している。導入されれば広島県廿日市市の宮島に次いで全国2例目となる。

来訪者に対応するための行政需要は年間約10億円と試算。年間入域客数の約100万人で割ると一人当たりの金額は千円程度になる。それに財政難で進んでいない公共事業や持続的に必要なインフラ整備の費用、観光客を含めた防災備蓄費をまかなう金額、さらにはオーバーツーリズムに対応する案として千円、2千円、3千円の3段階の選択肢を議論した。

千円の場合、これからの観光振興、滞在者の受け入れ整備など十分な対応ができない点、さらに3千円では観光業者の反対が大きいことが予想されるとして、「2千円が妥当」との結論に至った。徴収される税は年間約20億円になる。

また、課税対象についてこの日の議論では、町民以外に介護従事者などのエッセンシャルワーカーや工事関係の施工業者、郷友会関係は特別扱いとして除かれる見込み。そのほか、課税対象外とする範囲は最終報告に向けて絞り込みをしていく予定。

青木委員長は審議会後の取材に応じ、「税金として課税することは必ず観光事業者のためにもなり、皆さんの得にもなる。観光で来ていただいた方の負担で将来に投資をしていくことは必要不可欠。(2千円は)間違いなく必要な費用を割り戻して出した数字」と説明。

その上で「これをきっかけに町民の方が5年先、10年先の竹富町のそれぞれの島の発展を考える起爆剤にしてほしい。およそ20億集まるお金をどう使うのか、みなさんで決めていただきたい」と述べた。

町は船会社3社に事前に船賃への上乗せを打診し、課題は今後も検討していくとした上で「協力は惜しまない」回答があったと説明した。

琉球放送2023.11.10

年間100万人が訪れる人口4000人の竹富町 「訪問税」1人当たり2000円の案 その目的とは

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/830213?display=1

八重山毎日新聞2023.11.11

竹富町訪問税千円案に猛反発 船会社「上乗せできない」

https://www.y-mainichi.co.jp/news/40010

竹富町が有人島への入域者を対象に導入を計画する「町訪問税」(仮称)について審議委員会が妥当と判断した「12000円」を巡り、同税を船賃に上乗せした徴収への協力を町から求められる予定の船会社からは「あり得ない」「上乗せできない」などと反発の声が上がった。

訪問税について町は八重山観光フェリー㈱、㈲安栄観光、石垣島ドリーム観光㈱の主要3社をはじめ、不定期航路を運航する事業者の旅客船舶の運賃に上乗せして徴収する方向で準備を進めている。

訪問税2000円が適用されれば、石垣島からの往復運賃は竹富3700円(現行1700円)、小浜5020円(同3020円)、黒島5250円(3250円)、大原6420円(4420円)、上原・鳩間7770円(5770円)、波照間1750円(8750円)に。竹富は運賃より訪問税が高くなる状況だ。

八重山観光フェリーの大松宏昭代表取締役社長は新聞報道で額を知り、「竹富島の往復船賃より高いなんてあり得ない。何かの間違いかと思った。01個多いと」と目を疑った。「大変な額。利用者が納得して払うとは思えない。社としても容認できない」との考えを示した。

来訪者の大幅減を強く懸念し、「竹富町観光があるからこそ、石垣市へのホテル滞在も生まれてくる。これは竹富町の観光だけでなく八重山観光全体のあり方が変わる問題だ」と強調した。

安栄観光の森田安高代表取締役は「とんでもない額だ。竹富町への観光客が減るだろう。そうなると、つぶれる観光事業者も出てくる。船会社は、燃油サーチャージで100円上げるだけで苦労しているのに、その20倍の訪問税を徴収することはできない。現実的な税額ではない」と疑問を呈した。

沖縄テレビ2023.11.13

「必要なら払う」「ちょっと高い」 竹富町の訪問税は2000円の公算

https://www.fnn.jp/articles/-/615008

NHK2023.11.15

竹富町 町民以外の訪問者から1回2000円の税徴収で検討

https://www3.nhk.or.jp/lnews/okinawa/20231115/5090025656.html


2023年10月6日金曜日

報道記事/琉球新報掲載 上妻毅コメント

 2023930()、琉球新報掲載記事(2面総合)にNPW代表理事・上妻毅のコメントが掲載されました。


地域外交の目標は「平和祈念資料館の入館者数増」? 

沖縄県の指標に識者が“違和感”「成果ではなく課題」

https://ryukyushimpo.jp/news/entry-2320454.html


2023年9月21日木曜日

報道記事/竹富町訪問税(仮称)審議委員会開催

 202397日、竹富町訪問税(仮称)審議委員会に出席しました。

 【目的】

竹富町において来訪者によって発生する標準以上の行政需要を原因者である来訪者に負担してもらう新たな仕組みとして「竹富町訪問税(仮称)」を制定する。

【審議事項】

(1) 竹富町訪問税(仮称)の導入に関する事項

(2) 竹富町訪問税(仮称)条例及び施行規則の制定に関する事項

(3) その他、委員会が必要と認める事項

【委員】

青木 宗明 神奈川大学経営学部国際経営学科教授

加賀谷 陽平 一般財団法人沖縄ITイノベーション戦略センター常務理事

上妻 毅 一般社団法人ニュー・パブリック・ワークス代表理事

大久 研一 竹富町議会議長

真謝 隆一 竹富町公民館連絡協議会会長

山城 秀史 竹富町副町長

以下、八重山毎日新聞記事

竹富町は7日、町内来訪者に課税する訪問税(仮称)の導入に向け、審議委員会(委員長・青木宗明神奈川大学経営学部教授)を立ち上げた。同日午前に町役場委員会室で第1回審議委員会が開かれ、制度の基本的枠組みや徴収方法、税率、導入に向けた今後の流れを確認した。同会は年度内に3回審議会を開き、来年3月の条例化、次年度以降早期の導入を目指す。

町は2007年に入域料を検討する委員会を設置、19年には環境省主体で西表石垣国立公園(西表地区)利用者負担による保全の仕組みに関する勉強会を行うなど長年、法定外目的税での徴収を模索してきた。21年からは「宮島訪問税条例」を事例に法定外普通税とする検討を開始。役場内での連絡会議や昨年実施した検討会での議論をふまえ、今回制度化に向けた審議委員会を発足した。

訪問税は▽来訪者対象▽法定外普通税▽町の全島(有人島)対象―の3点を基本方針とする。町民や町役場職員は課税対象としないほか、町内事業所に通勤する者、学校や保育施設に通う児童生徒、乳幼児なども対象外。回数券の利用者や郷友会、町民の家族、帰郷のために来訪する者などの取り扱いは今後関係者の意見もふまえて協議する。

徴収方法はコスト、徴収漏れのリスクなどを鑑み、旅客船の運賃に上乗せして徴収する案を検討。その場合は船会社が特別徴収義務者となる。導入後は窓口対応や事務手続きが増加することから、町は今後、各船会社と調整を重ね理解を求めていく。島々間の移動に際する徴収はない。

税率は総務省の同意基準や観光客に対する支払意思額調査の結果などをふまえ具体化を図る。

意見交換では「ユニバーサルツーリズムの観点から、観光困難者を課税対象とするのも一つの手」(上妻毅氏)、「伝統行事に参加する郷友会などは対象外とした方が良い」(大久研一氏)などの意見があった。

同会は条例の素案を作成、パブリックコメントを実施したのち、来年3月に町議会に上程する予定。承認されれば、総務省の同意と周知期間を経て施行する流れになる。

前泊正人町長は冒頭のあいさつで西表島の世界自然遺産登録にふれ、「町は観光管理の岐路に立たされている。訪問税はなくてはならない制度。慎重審議を重ね、早期の制度設計ができるよう知見、お力をいただきたい」と述べた。

2023年6月2日金曜日

関連記事/月刊『日本の進路』(2023年6月号)上妻毅インタビュー

202361日発行の月刊『日本の進路』にNPW代表理事・上妻毅のインタビュー記事が掲載されました。


「国民の誓い」として沖縄を平和と交流の島に

-南西諸島の軍事拠点化を超えて-

上妻 毅 ニュー・パブリック・ワークス代表理事

http://kokuminrengo.net/2023/06/01/post-7390/#more-7390


2023年4月21日金曜日

報道記事/琉球新報連載「自衛隊南西シフトを問う」 上妻毅インタビュー

202349()の琉球新報にNPW代表理事・上妻毅のインタビュー記事が掲載されました。


「交流の島」が「要塞の島」に 自治力高め紛争回避を

自衛隊南西シフトを問う -安保「最前線」の現場から- 

識者の見方④ 上妻毅氏(ニュー・パブリック・ワークス代表理事)

https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1691543.html