委員会として締め括りの審議となる本会合では、先立って行われた西表島での地元事業者との意見交換会(7月17・18日)の状況が報告されるとともに、草案作成にあたっての重要事項が論議されました。
その上で、当委員会としての「総括」が提示され、今後の主要スケジュール(町議会への条例案上程、実施体制の整備、条例施行後の運用)を前提に、事務局および竹富町への申し送り事項が明記されました。
委員会について
◇本委員会は、竹富町内の貴重な自然環境やその生態系を守り、保全と活用の両立を実現させるため、「自然観光ガイドの届出制度に関する事項や自然観光ガイドが遵守すべき事項等を盛り込んだ条例の制定」を図ることを目的に発足した。
◇令和元年5月18日、6月25日、7月30日の三回にわたって会議を開催し、委員、事務局及び関係者による審議・検討等を行った。
◇「竹富町観光案内人条例(仮称)」の制定は、質の高い自然観光ガイドが重要な担い手となり、行政・関係機関等との連携、地域社会の理解と協力とともに、持続可能なエコツーリズムの推進等を目指すものであり、貴重な自然環境の保全と次代への継承、また、今後の本町全域の地域振興にとって極めて重要な取り組みである。
◇特に、西表島の世界自然遺産登録を念頭に置いた自然環境・生態系の保護、オーバーツーリズム対策は喫緊の課題であり、自然環境の過剰な観光利用の防止においても、自然資源を活用する観光ガイド事業の適正化は不可欠の要件である。
◇このような認識とともに、本委員会では、自然観光ガイドに関して、「登録の要件や手数料、更新そのほか観光ガイドの届出及び登録に関する事項」「登録された自然観光ガイドが遵守すべき事項」「罰則や行政処分に関する事項」「そのほか検討委員会が必要と認める事項」を検討事項とする審議・検討等を実施した。
条例の制定と推進に関して
◇本条例のあるべき方向性として「地域に根差した質の高い事業者を確保できる設計」を旨とする事務局方針を支持する。但し、町外の事業者など外者の不合理な排除とならないよう、適切な配慮等を講じること。
◇制度設計に関しては、下記の事項を条例案作成もしくは条例制定後の運用にあたっての重要事項とする。
・免許制
・研修制
・更新制
・条例違反者への対応
・罰則規定
・行政の負担軽減と協議会等支援組織の設置
◇西表島以外の島々については、地域の課題や条例適用の必要性、求められる条件整備等を考慮しながら、各島の事情に即した適切な運用を図る。
◇本条例は、海外を含む内外への竹富町の明確な意思表示としての重要性を有する。
・次代に継承する島々の豊かな自然環境の保全と適切な活用
・持続可能な観光及び地域振興の政策的推進
・世界自然遺産登録が見込まれる西表島における先駆的な取組み◇本条例の実効ある運用に関し、以下の懸念事項が提起された。すなわち、条例に違反した者へのペナルティ(営業停止、資格取消など)は、あくまで本条例に従って営業許可を得た者が対象であることから、
「竹富町の条例などお構いなく、西表島での観光ガイド業を行う者(悪質業者を含む)に対し、本条例は実効的な対策を講じることが不可能ではないか」
「上記の者は、その多くが竹富町外に存在もしくは発生することが予想される」
など、条例適用後も憂慮される状況や問題が指摘された。◇本条例が機能し得る範囲等を明確にしつつ、罰則規定に基づく措置や抑止効果、「特定自然観光資源」に係る取り決めをはじめとする関係法令・規則との効果的連携など、懸念事項を克服する仕組みづくりと制度運用を求める。
◇本条例の運用を支援する新たな仕組みについて、以下の建設的提言が提起された。
・登録事業者及び登録希望者向け支援体制としての研修センター(仮称)の設置
・観光庁登録「地域連携DMO」である八重山ビジターズビューローの活用
・制度運用全般について適正評価を実施する体制の整備今後の取り組みについて(申し送り事項)
◇町議会への上程を前提とする条例案(草案)の作成、また、施行規則等の検討・作成を担うワーキンググループ等の早期編成を図ること。
◇条例案及び施行規則等の検討・作成にあたっては、専門的知見を有する有識者の指導・支援を仰ぎ、最善の制度設計に努めること。
その際、「条例で定める事項」と「条例以外(施行規則・その他)で定める事項」を的確に整理し、実効的運用が可能な制度設計を図ること。
◇将来の条例適用区域の拡大(西表島沿岸海域、西表島以外の町内各島)を念頭に、その円滑な実施が可能な制度設計に十分な考慮と創意工夫を図ること。
◇行政とは異なる立ち位置で本条例の実効的推進を支える地元事業者(観光ガイド等)との十分な意思疎通と協議・調整、発展的な協力関係の構築に努めること。
◇必要に応じて、本委員会委員等の意見・助言や支援・協力を積極的に求めること。
2020年4月の条例施行、そして、同年6~7月に見込まれる世界自然遺産登録を前に、‘やるべきこと(Things to Do)’は山積しています。
併せて、条例違反者への罰則を含め、‘実効ある制度’を支える体制の構築が不可欠の要件となっています。
条例の起草に携わった委員の一人として、今後とも積極的に協力してまいります。
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